ヴァンピロテウティス・インフェルナリス_SS のバックアップソース(No.1)

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■[[僕○第77回]]
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「幻想郷には……海はないんですか?」
  ナリスはその言葉を聞いた時少なからずのショックを受けた。居ても立っても居られないナリスはそのまま勢いで八雲紫に会う為に走り出した。八雲紫がどこにいるのかも知らないまま……。
 ナリスはそのまま各地を彷徨い続け、気が付いたら妖怪の山まで来ていた。射命丸文に呼び止められる。
「あやややや? こんな所で何をしているんですか?」
「私は……海を捜しているのです。ですが、それがないとわかった以上……今度は別の手段を模索せねばなりません。故に、私は八雲紫に会いに行くのです」
「なるほど。しかしいくら境界の大妖怪の力を以てしてもそれは難しいと思いますよ? それにあの人はそういうことには協力しなさそうですしねぇ」
「……しかし……それでは私たちは……」
 ナリスは寂しそうにそう言って去ろうとする。その姿に感じる物があったのか、文はナリスを呼び止める。
「ちょっと待って下さい。流石に私が手を貸すわけにはいきませんが、それとなく何とかする方法を考えましょう」
(何か記事になりそうな予感もしますしね)
「ほんとうですか? ありがとうございます……文さん……」
 文の内心を知らぬナリスは、文の優しさに感動する。
「では、とりあえず紅魔館に行きましょうか。あそこなら外の知識も割とありますし」
「はい!」
 ナリスと文はそれぞれの思惑を胸に紅魔館へと足を向けたのだった。
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「それで? 前にレミィが地上の海って言ったけどあれはプールよ?」
「……はい。それはわかっています。ですので他に何か妙案があればと……」
 ナリスは丁寧に頭を下げる。その姿にパチュリーも溜息を吐く。
「はぁ。そんな神妙な態度されたらこっちも真面目に対応しなきゃいけなくなるじゃない。それで? 問題は住む場所がないってことよね?」
「はい……」
「そうね……。だったら……」
 パチュリーは小悪魔に書物を取りに行かせ思案する。しばらく考え、小悪魔が持ってきた本を見て言う。
「少し荒技になるけれど、こんなのはどうかしら?」
 パチュリーが示した物。それは地下に住みかを新たに作り上げるというものだった。ある程度の水質や水圧は魔法で補う為にそれほどの深さはいらないとパチュリーは言ったが、ナリスは何とかしてみせるといった。
「そう。それじゃあ基礎が出来たら呼んでくれる? そしたら後はやっておくから」
「はいっ!!」
 そこからナリスの奮戦が始まった。
 まずは文に手伝ってもらって、同じように住処を失くしている海洋系に呼び掛け、力を貸してもらうことを約束づけ、適当な場所がなかったのでそのまま霧の湖をさらに掘り進め、途中巫女や魔法使いに邪魔されながらも苦節3カ月。遂に完成させたのだった。
「ところでナリスさん?」
「何ですか文さん? あ! 色々と手伝ってくださってありがとうございます!!」
「あ、いえ。そこは別に構わないのですがちょっと気になった事が」
「はい?」
「時にこんな奥深くに人が来るはずがありませんが、どうやって人を襲ったりするんでしょうか?」
「……あ」
「…………」
「…………」
 結果として、そもそも幻想郷には妖怪以外に住める生物もいなかった為、餌もろくにないということになり、殆どの妖怪は移住せず、また移住した妖怪も事あるごとに外に出てくる羽目になったという。
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