泰祭 四聖_SS のバックアップの現在との差分(No.1)


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■[[僕○第51回]]
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 泰祭四聖は大鯰である! それも、大地を統べ、身動ぎするだけで地震を巻き起こし、津波を引き起こすほどの、まさに生ける災厄であった。人々や妖怪はその力を畏怖し、彼の者を「災厄を起こすもの(カラミティ・アンプレイズド)」と呼び、時には畏れ、時には敵対して、人々との折り合いをつけて生きていた。
 泰祭四聖は大鯰である! それも、大地を統べ、身動ぎするだけで地震を巻き起こし、津波を引き起こすほどの、まさに生ける災厄であった。人々や妖怪はその力を畏怖し、彼の者を「災厄を起こすもの(カラミティ・アンプレイズド)」と呼び、時には畏れ、時には敵対して、人々との折り合いをつけて生きていた。
だが、その四聖は今紅魔館の門番をしていた。なぜそんなことになったのか……。
それは3日前ほど前に遡る。
「ねぇレミィ? 私も言いたくはないけれど、そろそろあの門番……限界じゃない?」
 紅魔館の最奥、レミリアの私室にてパチュリーは書類を投げ渡しながらはっきりと言った。
「……何とかならないかしら?」
「ならないわね。一昔前なら、ここに来る妖怪やらを蹴散らせば何とか威厳も保てたでしょうけど、今じゃあここに敵対意思を持ってくるのなんかいないから……残念だけれど無理ね」
 二人は揃ってため息を吐く。レミリアは手元の書類をもう一度見る。何度見ても内容は変わらない。門番長である紅美鈴に対する疑問や不信などが綴られたもの。まぁ、要約すると「紅美鈴が門番長でいいのかどうかを様々な観点から述べる」といったものである。
「正直に言うと、私も門番のことは個人的に気に入ってるのだけれどね。レミィもそうでしょ?」
「今はそんなことはどうでもいいわ。はぁ、面倒ね」
「……周りを納得させれるような何かがあればいいのだけれど……ないわね」
 ついこないだ異変が終わってからここしばらくはまったりとしていて平和である。だからこそ、門番隊という存在の是非について目がいったのだろう。
「とりあえずこっちでも何か方法を探っておくわ」
「頼んだわよパチェ」
 パチュリーが去った後、レミリアは一人で思案する。今回の事案は一際面倒な部類に当たる。
 まず第一に、現状において門番隊自体はそれほど必要ではない。
 第二に、現在紅魔館は人が多すぎる状況であり、その中で門番隊もかなりの数を閉めている。
そして最後に、門番を門番以外の用途で使用する気がレミリアにはない。
以上の理由により、現業打開策は全く言っていいほどなかった。せめて門番がもう少し活躍らしい活躍をしてくれたのならば、レミリアとしても何かしらすることが出来たのだが……。
「すまぬが、少し良いかの?」
 少し悩んでいたせいか、扉をノックされるまで、侵入者に気付けていなかった。騒ぎは聞こえないから、門番隊はおろか、メイド隊も潜り抜けてきたのだろう。
「誰だかは知らないけど、まぁいいわ。入りなさい」
「うむ。かたじけない」
 入って来たのは薄紫の和服を着た大柄な女性だった。レミリアは一目でかなりの手練だと理解する。
「それで、なんの用かしら? 泰祭四聖?」
「儂のことを知っておるのか? いや、恐らく別の理由じゃな。まぁよい。わしが用あるのはここの門番の紅美鈴じゃ」
「? うちの門番に用?」
 いぶかしむレミリアに対し、四聖は「うむうむ」と頷く。
「わしは前に自らを太歳星君の影と名乗り、幻想郷を大災に満たそうとしたのじゃが(夢の中で)、紅美鈴に阻止されてのう(夢の中で)。それ故にじゃ」
 そういえば、前の異変の時に門番がそんな夢物語を言っていたとパチュリーから聞いていた。まさか事実だったとは思わなかったが。……と、そこでレミリアはあるひらめきをする。
「いいわ。どんな用があるかは知らないけれど、うちの門番に合わせてあげるわ。それじゃ、これにサインしてもらうわ」
「うむ。ようやく雪辱を晴らせるときが来たということかの……ん? なんじゃこれは? 地上(そと)に出て久しいからあまりよくわからんでの」
「門番に会うための書類よ。別に非道なことは書いてないから安心しなさい」
「おお、そうか。感謝するぞ」
 四聖はレミリアから渡された門番隊入隊手続き(自己脱隊不可)に名前を記載していく。
「うむ。これでよいかの?」
「ええ。これでいいわ。それじゃあ、正門に向かいなさい。そこにいるはずよ」
「何から何までかたじけないのう。それで入ってくるわい」
 四聖が出ていったのち、レミリアはそっと息をつく。そして、パチュリーに蝙蝠を飛ばす。しばらくすると、パチュリーが再び部屋に来る。
「どうしたの? まだこっちは何の案も出てないわよ? 後、さっきから正門前で何か騒ぎが起きてるようだけれどいいの?」
「いいのよ。そのことについてパチェを呼んだんだから」
 レミリアの言葉にパチュリーはいぶかしげな顔をしたが、すぐに向き直る。
「一体今度は何をしたの? 門番の件と関係あるんでしょ?」
「そうよ。とはいえ、今回は私も予想外だったんだけどね。これを見て」
「何よ……門番隊の新入り? ただでさえ人数が多いのに何を――ってそういうことね」
「さすがパチェね。わかってくれると思ってたわ」
 レミリアが行ったのは、美鈴と四聖の戦闘の余波で余分な隊員を間引きすることである。もともと、数の多かった隊員のほとんどは、フランが暴れたときの為の人員だったが、魔理沙や霊夢が来るようになり、他の妖怪なども来るようになってからは暴れることがほとんどなくなったため、無駄な人員となってしまったのである。
「ある意味一番手っ取り早い行為ね。それにしても……これって大妖怪クラスじゃない? どこで引っ掛けたの?」
「門番に負けた雪辱を晴らしに来たって言ってたわね。パチェがこないだ話した奴だと思うわよ? ほら、門番の夢物語」
「……アレが事実だとは思えないんだけれど、そうね。それだったら大鯰なのも頷けるし……でも、そんなことってあるの?」
「500年生きてる私から言わせてもらえば、この幻想郷なら何が起きても驚かないわよ?」
「そうね。レミィも負けたし、妹様も落ち着いてる。そんなこと外だと想像も出来なかったことね」
 二人は顔を見合わせて、軽く笑い合う。
 一方その頃。紅魔館正門前での闘争は留まる事を知らず(事情を聞いた美鈴が悪ノリした為)に白熱し続けて、結果、野次馬に来た門番隊とメイド隊の実に3/4が昇天して、しばらく人手に困ってしまったが、それは別のお話。
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