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っぽい第三弾_一面ボス_REDMOON_SS の変更点


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■[[僕○第21回]]
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 霧の湖の畔にたつ、窓の少ない紅い館。紅魔館の図書館にて一人の魔女が外出の準備をしていた。魔女の名はパチュリー・ノーレッジ。「動かない図書館」と揶揄される少女だったが、何やら嫌な予感がした為、調べ物をしようと準備をしていた。
「あれ? パチュリー様? そんな姿で一体どうしたんですか? まるで外に出るみたいな」
 そうパチュリーに問うのは図書館の司書。パチュリーの遣い魔である名無しの小悪魔である。
「実際に出るのよ。それよりも小悪魔。魔理沙かアリスに連絡を入れてくれないかしら」
「魔理沙さんでしたら、異変の調査に行かれたらしいですよ? アリスさんはその付き添いだそうです」
「何て間の悪い。じゃあ他に…………、小悪魔行くわよ」
 流石に自分と咲夜が同時にここを空けるのはまずいだろうと判断し、パチュリーは妥協して小悪魔を連れていこうとした。だが、それに対して小悪魔はやや不満顔でパチュリーを見た。
「私はそう言うのはちょっと……、咲夜さんや美鈴さんじゃ駄目なんですか?」
「両方とも論外よ。美鈴は門番だし、私と咲夜の両方がいなかったら誰がレミリアの相手をするのよ?」
「じゃあそれを私が頑張りますから、咲夜さんと行って下さい」
「いいから行くわよ」
 パチュリーは小悪魔を無理やり連れて、紅魔館を後にした。
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Stage1 神隠しの怪の解
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 パチュリーと小悪魔は先に調べていた情報をもとに、神隠しの発生していると思われる場所へと向かっていた。
「神隠しはあながち間違った話ではなさそうね。まだ、妖怪はおろか妖精にすら合わないなんてね」
「そうですね。先ほどから毛玉ばかりでそろそろ撃ち落とすのも面倒になってきましたが」
「とりあえず、妖精でも何でもいいから見つけたら事情を聴くわよ」
「わかりました」
 小悪魔は頷き、周囲探査の魔法を起動させる。無詠唱発動系なので制度はそれほど高くはないが、ここまで何もいない場合は、それらしいものが引っ掛かるだけでいいので手早く使えるこっちの方がいいと小悪魔は判断した。
「妖精らしき反応一つ! 向こうの方からです!!」
「じゃあ行くわよ。……前方の毛玉たちが邪魔ね。吹き飛びなさい、サマーレッド」
 パチュリーの持つ魔導書から放たれた火球が前方から飛来する毛玉を一掃する。同時に草むらから一匹の妖精が飛び出してきた。
「探知に引っかかった妖精はこれみたいですねパチュリー様。どうしますか?」
「ここらで何があったのかを聞くのよ。というわけでちょっと聞きたいことが――」
 パチュリーの言葉は最後まで続かなかった。その前に妖精が突然弾幕をばら撒いて逃げ出したからである。
「ひやぁあぁーーー!! 来ないでくださいーー!!」
 妖精は高速で逃げていた。その速度は並みの妖怪では追い切れないほどのものだった。
「は、速い!? どうするんですかパチュリー様!? 流石にあの速度に追いつくことなんて……」
「追いつけないなら撃ち落とすだけよ。速度は大体わかったからここね。ドヨースピア、オータムエッジ」
 妖精の逃げようとしたルートの前方の地面からいくつもの岩塊を跳ね上がる。妖精が驚いて止まったところに後ろから飛来した複数本の金属の刃が突き刺さった。
「きゅ〜〜」
「死んでませんかこれ?」
「直撃は避けたから大丈夫のはずよ。とはいえ、起きるを待つほど悠長な話でもないし、先を行くわよ。一応それは持って運ぶわ」
「パチュリー様がですかっ!?」
「その驚きには悪意を感じるけどまぁいいわ。もつのは貴女よ。もちろん拒否なんか許さないから」
「パチュリー様の鬼―!」
「いいからさっさと運びなさい」
 妖精を無理やり小悪魔に背負わせてパチュリーは先を急いだ。しばらく進むと違和感のある場所に辿りついた。
「ここが件の場所ね」
「はい。恐らく隔離された空間があると思われます。そして、此度ではここでの消失が数件確認されたそうです」
「とりあえず、調べてみる甲斐はありそうね」
 パチュリーは結界解除の魔導式を組み始める。
「ここでなにをしている?」
「!?」
 探知魔法に引っかからず突然の出現した人物に小悪魔は驚愕した。
「ここを調べているだけよ。迷惑だったかしら」
「何故……という理由さえあれば構わないが……ん? そこにいるのは」
 その人物は小悪魔の背にいる妖精を見て納得したような顔をした。
「なんだ。お前達も志望者か。それならばそうと言え」
 その人物が手を小悪魔の方に向けると同時に背にいたはずの妖精の姿と重みが失われた。
「なっ!? 今、何を!?」
 驚愕している小悪魔をその人物はいぶかしむような顔を見た。
「何を驚いている? お前達もこれを望んできたのだろう?」
「一応聞いておくわ。「これ」とは、何のことかしら?」
 パチュリーの問いにその人物は揺るぎの無い真直の視線をパチュリーに向け言った。
「決まっている……神隠しだ」
「つまり……あなたが神隠しの怪でいいのね?」
「つまるところそうだな。私の名は八幡磐境。さて、それでは誘うとするか?」
 八幡の瞳がパチュリーと小悪魔を射抜く。パチュリーは動じなかったが、小悪魔は大いに慌てた。
「どどどどうするんですかパチュリー様っ!? いきなり黒幕ですよっ!?」
「落ち着きなさい小悪魔。でもそうね。まずは……話し合いが必要かしら?」
 パチュリーはそう言い、誘導式の小型火球を数個八幡に向かって放つ。だが、それらの火球は八幡に届く前に何かにぶつかり爆ぜる。
「何の真似だ?」
「幻想郷での話し合いはこんなものでしょう? 後、私達は神隠しにあいに来たわけではないわ。でもまぁ、貴女の持つ情報はもらって行くわ」
「ふむ。パチュリーと言ったか……お前は……まぁよい。そちらに合わせてやろう!」
「小悪魔! 戦闘準備!」
「は、はい! わかりました!」
 小悪魔は慌てて前衛に出る。パチュリーは後方で詠唱を開始している。八幡の放つ弾幕は途中で突如その姿を消し、別の場所から現れたりするため、回避と防御が困難である。パチュリーの周囲には防御結界が張られているため、小悪魔は自身の防御に専念することが出来るが、それでも何とか防ぐのが精いっぱいだった。
「だ、駄目ですパチュリー様っ! このままでは……!」
「そろそろ頃合いね。小悪魔来なさい!」
「は、はい!」
 パチュリーの前方に小悪魔が立つ。八幡はそれを見ていぶかしむ。
「何をするつもりだ?」
「すぐにわかるわ。スペルリンク!」
「了解です! 直型魔力循環炉形成、私の魔力と思考回路をパチュリー様に委ねます」
「リンク完了。いくわよ。日&火符『ガトリングフレア』」
 燃え盛る劫火の炎弾が絶えることなく連射される。咄嗟の防御では全弾を受け止めきることは出来ず、八幡は数発被弾し倒れた。
「やったぁ! やりましたよパチュリー様!」
 小悪魔は喜びを露わに飛び跳ねる。その様子を横目にしながらパチュリーは倒れている八幡に声をかける。
「さて、戯れはこれくらいにするとして、知ってる事を教えてほしいのだけど?」
「私自身は神隠しをしているだけだ。これの意味は理解しているようだな」
 八幡はまるで被弾していないかのように無造作に立ち上がる。
「無傷っ!? でも――」
「もういいわよ小悪魔。これは今回の異変の黒幕じゃないわ。ここらで起きている神隠し自体が異変だというのならば確かに黒幕なのでしょうけど……そうじゃないんでしょう?」
 小悪魔の言葉をパチュリーが片手で制し、八幡を問う。
「そうだ。今起きている何かには得体のしれない何かを感じる。だからこそ、今回は少し大掛かりに避難させていたわけだ」
「??」
「要するに、神隠しと言ってはいるけれど、その実は結界内に避難させていたのよ。まぁ、どうやったのかは知らないけれど、それが彼女の能力みたいね」
「じゃ、じゃあ、なんでさっき戦ったんですか? それだと戦う必要なんてなかったじゃないですか?」
 小悪魔の問いにパチュリーは溜息をつく。
「誰の為だと思ってるのよ。あれほど、黒幕だと誤解して、敵視してた貴女を納得させるために小芝居を一つ打って貰ったのよ」
「そう言う訳だ。さて、話の続きだが、怪しいのはいつ、どこを問わずに響く祭囃子だ。あれの方向に何かしらがあるだろう……いくのか?」
「ええ。今回の異変……何か嫌な予感がするのよ。貴女も似たようなのを感じているのなら、面倒なことが起こるかもしれないわ」
「そうか。力にはなれないが頑張ってくれ」
 八幡の言葉にパチュリーは軽く笑い、
「いわれなくてもやれるだけやるわ。いくわよ小悪魔」
「はい。パチュリー様」
 パチュリーと小悪魔は八幡の示した祭囃子の聞こえる方向へと飛び立っていった。
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