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っぽい最終回_僕の考えた界夏祭EX_涼名_SS

Last-modified: 2009-08-27 (木) 22:14:45 (5355d)

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僕○第27回


六道夏月SS


お姉ちゃんとケンカをした。
売り言葉に買い言葉。思えばお姉ちゃんとあんな風に喧嘩をしたのは初めてだったと思う。
私はお姉ちゃんが大好きで、幼い頃からいつもお姉ちゃんの後ろをついて歩いていた。いい歳をして、姉離れをしないといけない、と両親や友達からよく言われたものだ。
お姉ちゃんはいつも優しく笑って私の手を引いてくれた。その手のぬくもりがとても暖かくて、照れくさくて、そしてとてもうれしかったのをよく覚えている。
あの時、私は何をそんなに怒っていたのだろうか?
今となっては理由も思い出せない。きっと些細なことだったのだ。
本当に、本当にどうでも良いような些細なこと。
そんなどうでもいい一時の感情のせいで――
 ――私はお姉ちゃんを失った。
あの時の光景だけは心に焼き付いて離れない。
『お姉ちゃんなんていなくなればいい』
ついカッとなってそんな事を思いながらお姉ちゃんを突き飛ばした。
よろけるお姉ちゃん。そのままバランスを崩し後ろに倒れこむ。
その時だ。お姉ちゃんの後ろの空間がグニャリと歪んだ。
パレットに出した絵具を混ぜて行くように、世界の色はお姉ちゃんの後ろで大きく混ざり合い、全く異質な穴としてそこに大きな口を開いた。
ずわっ……
そんな音がしたかのような錯覚を残し、その穴はお姉ちゃんを飲み込んで、消えた。
それが、私がお姉ちゃんを見た最後だった。


「お姉ちゃん!!」
自分でもはっきり認識できる程の大声で叫びながら。私は蒲団から飛び起きた。
(夢……、か)
この夢を見るのも久しぶりだな。以前は毎日のように見ていたのだが。
「あ、起きられましたか? 夏月さん」
「……おはよう。藍さん」
隣の部屋から私を覗き込んでいるのは八雲藍さん。割烹着を着てお玉を片手にしているところを見ると、朝ごはんの支度の途中だったようだ。きっと私が叫び声なんか上げたものだからワザワザのぞきに来てくれたのだろう。おみそ汁のいい匂いが微かに漂ってくる。
「おはようございます。朝ごはん、もう出来ますのでいらして下さいね」
そう言って部屋を出る藍さんのお尻には、たくさんのしっぽがユラユラしていた。
そう、藍さんは人間ではなく狐の妖怪なんだそうだ。
妖怪。まったく信じられない話だ。
そもそも、ここがどこかといえば私の元いた世界とは別の幻想郷とかいう世界らしい。
ここではそう言った妖怪や妖精なんかがうじゃうじゃいるらしい。
「ま、私の能力自体非常識だし、妖怪くらいいてもおかしくないのかもね」
私の持つ『歪みを発生させる程度の能力』。
姉を別世界に飛ばしてしまった忌むべき能力でもあるが、この能力がなくならないでいてくれるからこそ、この世界、幻想郷を探し当てることができた。
そしてまた、空間に歪みを作り出し、ここまで姉を探しに来たのだ。
「この世界に、お姉ちゃんはいる」


(未完)

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