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カドゥケウス・トリスメギストスSS

Last-modified: 2009-06-14 (日) 15:33:21 (5423d)

SS本文

「これは・・・?」
彼女はそのパピルスを広げた。そこに描かれていたのは、彼女が今まで見たこと無い魔方陣であった。


ここは彼女の主人であった、今は亡きヘルメスの研究所である。
そこの地下室には彼が生前に作り上げた理論や研究の記録が描かれたパピルスが山積みされていた。
カドゥケウスと、今現在は人に変化している彼女の使い魔であるループは、亡き主人の遺品の整理をしていた。
そこでカドゥケウスは、奇妙なパピルスを見つけたのだった。


「私の知らない魔方陣があるなんて知らなかった・・・」
彼女はそう言いながらそのパピルスに記された文に目を通した。
「幻想の・・・地・・・へ・・・、常識の・・・外へ・・・。一体どういう事?」
そして彼女は魔方陣に手をかけた。
「おーい、何かあったのか・・・何をやってるんだ!?」
積み重なった資料の陰から出てきたループは魔方陣を起動させようとしているカドゥケウスに叫んだ。
「え・・・」
しかし、カドゥケウスは既に魔力を注入していた。魔方陣が急速に回転を始め光が辺りに溢れ出す。
「クソっ!」
ルーツはカドゥケウスの近くに駆け寄ろうとした。
「・・・ッ!」
二人の姿は魔方陣から発せられる光によってかき消された。




「う・・・、ここは・・・?」
カドゥケウスは目を覚ました。空が木の葉に覆われて黒い。どうやら深い森の中にいるようだった。
辺りを見回してみると、少し奥にループが倒れていることに気付いた。
「・・・!ループ、ループ!?」
彼女はすぐさま駆け寄り、ループを介抱した。
「う・・・ぐ。カドゥケウスか・・・」
ループはうめき声を上げて目を覚ました。
「ごめんね、私が軽率なばっかりに」
カドゥケウスが涙ながらに謝った。ループは怒ったよう顔をして言った。
「・・・だーかーらー止めろって言ったのに。カドゥケウスのせいで死にかけたぜ。」
そう言ってしばらくしてから、ループはニッと笑った。
「なーんてな。大丈夫、俺は使い魔だ。カドゥケウスが生きている限りは消える事はない。だから、そう、大丈夫・・・」
そう言ってループは、泣きじゃくるカドゥケウスを強く抱きしめてやった。

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