シェリア・セイレーンSS
Last-modified: 2009-06-23 (火) 23:30:35 (5382d)
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【夜が明けない異変〜IFの出会い〜】
「うう〜、よく目が見えない〜」
ふらふらと飛びながらシェリアはひとりごちた。
「もう時間的に朝のはずでしょう?」
ただの雀妖怪にはこの暗さは辛いもので、もう幾度となく木に頭をぶつけていた。
「ら〜ら〜ら〜」
しばらくそうしていると、前方から歌を歌う声が聞こえた。
「これは…」
シェリアは、よく見えない目を凝らして歌声の主を見た。
「夜が明けない〜いつまでも〜」
歌の主は桃色の髪、そしてなにやら羽根を持った鳥妖怪のようだった。
「夜に歌を歌う鳥妖怪…?」
思い当たる節はあった、目の仇にしているミスティア・ローレライだ。
「くくっ…ついに見つけたわ、いい機会だし懲らしめてやる!!」
肺いっぱいに空気を吸い込む。
「あなたの歌は〜迷惑よ〜」
歌を遮るように挑発的な歌を歌いだすシェリア。
「!?」
突然歌を遮られて、遮った歌の主を探すミスティア。
「どうして歌の邪魔するの!!」
すぐにシェリアの姿を見つけ、激昂するミスティア。
「決まってるじゃない!!あなたが歌うことで人に迷惑をかけるからよ!!」
こちらも憤怒の形相でミスティアを睨み付けるシェリア。
「別に迷惑かけてない!!歌いたいから歌ってるだけ!!」
「それで迷惑が出てるのよ!!普通の雀妖怪の歌まで嫌われたらどうしてくれるの!!」
シェリアには、大好きな歌を聞いてもらえなくなるかも知れないことがどうしても許せなかった。
例えそれがものすごく見当違いな可能性であっても、である。
「夜雀と雀は別物でしょ!!いいがかり!!」
確かにその通りで、二人は活動時間も違う。
ミスティアからしても、一方的な言い分で突然歌うなといわれて相当頭にきていた。
「ち…ちーんっ!!もう許さない!!この歌であなたを…」
「歌を邪魔する奴はもう鳥目だろうと私の歌で…」
「惑わせて叩き落としてやる!!」
「夜の闇をさまよわせてやる!!」
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