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バブルこぁ_REDMOON_SS

Last-modified: 2009-11-25 (水) 15:19:00 (3673d)

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僕○第50回


 長きに渡ったビックバイパーとの激戦。3日3晩続く攻防戦はバブルコア優位で進んでいた。バブルコアとて、既に遮蔽壁は全て破壊され弱点であるコアを剥き出しにしている状態。だが、それだけの犠牲を支払っていただけはあり、ビックバイパーは無数の泡に囲まれ身動きがほとんど取れない状態で、後はイオンレーザーを掃射すれば破壊できるという状況となっていた。
 バブルコアは勝利を確信した。それと同時に此度の強敵を思い返す。ビックバイパー。幾度となく撃ち落としてきたものの、決して途切れることなく訪れる強敵。そして、敗れる度に……破壊される度により強くなり、此度も厳しい戦いだった。次は勝てるかどうかはわからない。次なるビックバイパーに思いを馳せながら、イオンレーザーの照準を合わせ、発射しようとしたその時――。
「Warning!! Warning!! Serious error occurred! The function stops temporarily!! It repeats! Serious error occurred! The function stops temporarily!!」
 バブルコアの機体全域にシステムエラーのアラートが鳴り響く。機体のコントロールが効かず、一瞬バブルコアの動きが停止する。そして、その一瞬の隙を見逃すビックバイパーではなかった。その一瞬の隙を突き泡の包囲から抜け出し、バブルコアのコアを撃ち抜いた。
 コアを撃ち抜かれたバブルコアをその機能を停止し――されど爆散することなく、何者かに誘われるかのように何処へとその姿を消した。




 そして、時と場所を変え幻想郷。今日もまた、新たな小悪魔が幻想郷に現れていた。
「ふぅ。ここが幻想郷ね。確かここにエナとシャイニングがいたはずね。あの二人、私を見たらいったいどんな顔をすることかしら」
 彼女の名はスノゥ・フラン。魔界の老舗の菓子屋の一人娘の超お嬢様にして、魔界図書館のエリート司書である。とはいえ、幻想郷に送られたのは一種の左遷のようなものなのだが、彼女自身は認めてはいない。
「全く! この私が左遷なんてありえませんわ! これは誰かの陰謀ですわ。全く、あそこの脳無し司書共はいつもこうですわ! 根拠は無いが絶対ですわ! ……ってあら?」
 上空に時空震の歪みが発生する。何事かと思って上を見上げると、空間が裂け、大破した巨大な機械物体が落ち――しかし、落下時に轟音を起こすことなく静かに降りたった。
「な、なんですの? って、きゃあ!?」
 いぶかしむスノゥに向かって、大破した機械物体から無数のパイプがまるで触手の様にうねりスノゥに絡まっていく。更に、絡まったパイプの至る所から針が出てきて、スノゥに何かを注入していく。
「何をしますのっ!? このっんんぅ!? んんんんぅんむっ!?」
 文句を言おうとして空けた口にもパイプが入り込み、そこからも何かを注入されていく。スノゥは必死に抵抗をするが、がっちりと絡みついたパイプを引き離すことは出来ずに体力は減り、スノゥはゆっくりと意識を落とした。
(ん、んんぅ? なんですのここは?)
 真っ暗な世界の中、スノゥは大破した巨大な機械物体を見つけた。スノゥが首をかしげると同時に、それの記憶が流れ込んできた。幾度もの宿敵との戦い。何者かに呼ばれたこと。そして……この機械物体――バブルコアの願い。
(いずれその宿敵もここに来るから、私の身体が欲しい……と?)
 バブルコアは肯定する。それと同時に、もし拒もうとも力ずくでも奪うと言う意思も伝わってくる。
(構いませんわ。ただし……この私の身体を使うのですから、敗北は決して許しませんわよ。貴方の力を全て委ねなさい。代わりに私の力を全て差し上げますわ)
 スノゥが了承すると同時に、視界が元に戻る。その姿は既に今までのスノゥのものとはまるで違っていた。左目は義眼となり、心臓も機械のものとなった。その二つはコア。今のスノゥ――否、スノゥとバブルコアが合わさり、新たな存在となったバブルこぁを維持するための中枢機構である。
目の前には既にデータの全てを移送し終え、ただ鎮座するだけとなったバブルコアの残滓。それをバブルこぁが魔法陣を展開し、残滓を異空間に取り込み、武装に再変換する。全てはいずれ来る宿敵を倒すためにと。
この時点で、スノゥの意識はまだバブルこぁからは消えていなかった。バブルコアも、スノゥ自身も消えると思っていただけに、この展開は想定外だったが、バブルコアも何もせずにスノゥに意思を明け渡した。ただ、縮敵との戦いのときには明け渡すよう言付けを残してバブルコアは沈黙した。
「あら? スノゥじゃない? いつ幻想郷に来てたのよ?」
 遠くから声をかけてきたのはエナだった。そのままエナはバブルこぁに駆け寄り、そして姿を見て驚く。
「どうしたのよその左目!? 魔界で何かあったの!?」
「ん、大丈夫よ。ちょっとやることが出来ただけよ。これは御土産よ」
 エナは御土産の菓子は受け取ったものの、心配そうにバブルこぁを見る。
「本当に大丈夫なのね? はぁ。スノゥは意地っ張りなんだから、せめて私やシャイニングに位は弱音を吐いたり、力を頼ってくれたりしてもいいんだからね」
「ええ。本当にエナは変わってないわね。この様子ならシャイニングも変わってなさそうね」
「変わってないわね。ふふっ。私達は本当に何も変わってないわね。それで? もういくの?」
「ええ。やることを終えたら……また来るわね」
 バブルこぁはそう言い、その場を後にした。いずれ来る戦いの為に、その力を高める為に……。




 そしてしばしの時は経ち、遂にその時が来た。
「貴女が……ビックバイパーなのね」
「そういう貴殿は……そうか、バブルコアか」
 互いの間に流れる空気は既に緊張の糸を限界まで張りつめた物となり、ほんのちょっとの刺激で切れてしまいそうなほどのものとなっていた。
「貴方は倒すわ。私達の矜持の名の下に!」
「貴殿も滅ぼす。我らが故郷の星の為に!」
 互いの信念をもとに、二つの力が、此度もまた新たなる舞台へと変えぶつかり合った。
 終わることの無い。永遠の闘争(エンドレスウォー)の舞台が、今宵もまた幕を上げた。

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