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ファルネ・ワーネイトSS

Last-modified: 2009-06-30 (火) 23:39:32 (3757d)

SS本文

《見抜く目と狂気の瞳 〜或いは蜂の目と兎の目〜》








迷いの竹林の一画。そこに1人の少女と何かの残骸が転がっている。
「なんだ……これは……?」
そう少女が目の前に転がった“元住居”の残骸を見ながら呟いた。
元々は球体であったソレは、何か大きな質量を持った物で上から殴られたように上半分が綺麗に吹き飛び、
下半分が辛うじて――とはいえ何時瓦解してもおかしくない状況ではあるが――残っている状況だった。
見れば周囲の竹には飛び散った破片が引っかかっていた。目を凝らせば数メートル先にも破片が見えることから随分な衝撃であった事が伺える。
「なるほど……成程成程。そうか、これは……」
残骸の破損状況を見ながら攻撃が飛んできた方向を見定める。
そして口元を歪めた笑みを浮かべ、少女は叫んだ。
「宣戦布告だなッ!」
言うが早いか背中に生えた薄いガラスのような透き通った翅が機械を纏っていく。
変化は一瞬、行動は刹那。
機械化した翅で羽ばたくと、一気にトップスピードまで加速した少女は竹林の奥へ、爆音を響かせながら飛翔していった。






             ◆






「……誰か、来る……!?」
永遠亭より少し離れた場所を歩いていた鈴仙は、突風と共に遠くからこちらへ、真っ直ぐ向かってくる轟音を聞いた。
つい先ほどまで穏やかだった竹林は強風に竹がしなり笹が擦れる音がし、立っているのも辛い世界に早変わりした。
飛来する何者かの正体を確かめようと、鈴仙が音のする方向に目をやると。
飛来してきた何者かは全くスピードを緩めずに目の前の地面に着地した。
慣性を無視したその着地を行ったソレは、しかし地面の土を抉り落ちた笹を天高く舞い上げそこに立っていた。
「なっ……」
鈴仙が驚きの声を上げる。そこに立っていたのは機械の翅を持った1人の少女だった。
灰色の長い髪を振り上げ、少女はこちらを見る。その目は怒りに満ちており、今にも襲い掛ってきそうな勢いである。
「あなたいきなり」
「貴様が犯人だな?」
冷戦の言葉をさえぎり、黄色いラインの入った青いコートを纏った少女はそう言った。
「え、や、一体何の話」
「おとぼけは必要ない。吹っ飛べ!」
言いながら少女は後ろに飛び上がる。
「や、ホントに何の話か解らないんだって!」
「貴様が私の巣を破壊したんだろうがッ!」
少女の怒声と共にコートの中でガシャ、という機械的な音が聞こえた。
すると、コートの中に一体どうやって納めていたのか大小様々な部品と6本の金属の筒が勢いよく飛び出した。
空中に放り出された部品はまるで自分の意思を持つかのように高速で組み上げれられ、ガシャンッ、と一際大きな音を立てて完成した。
完成したソレは6本の金属の筒を纏めて作った長大な円筒形をしており、日の光を受けて鈍く輝いている。
「ちょっと待って、私は何も知らないって!」
鈴仙は目の前の少女に懸命に声をかけるが、もはや少女は聞く耳を持たぬという事か、返事すらしようとしない。
少女は目の前に浮かぶ機械仕掛けのナニかに取り付けられたハンドルを右手で掴む。と同時に機関部から黒いベルトが伸びて腕を固定する。
「それでは、“状況を開始する。”」
そう呟くと、手に持ったソレを鈴仙に向ける。
瞬間、けたたましい音と共に筒が回転し火花が噴出す。
「うわっ!」
咄嗟にその場から転がるように逃げる鈴仙。と同時についさっきまで自分がいた地面が抉られ、周囲の竹を破壊していく。
「ちッ、避けるな!」
「無茶言うな!っていうか、なんなんですかソレ!」
鈴仙が少女が手に持った機械に指をさす。
「回転式多砲身機関砲、いわゆるガトリングガンだ。随分古い物だったんだが河童に改造してもらってね。さて、それじゃあサクッと吹っ飛べ」
そう言うと少女は手に持ったガトリングガンを鈴仙のほうへ再び向ける。
「次は避けるなよ?」
懐からスペルカードを取り出し、少女は怒りに燃える目で鈴仙を見る。
「あくまでこちらの言葉は聞かない……と。だったら無理やり聞かせるまで!」
同じように鈴仙もスペルカードを取り出した。




『刺弾 ストライクニードル』
『幻波 赤眼催眠-Mind Blowing』




2人はほぼ同時にスペルカードを発動させた。
瞬間、無数の鮮やかな弾が辺りにばら撒かれ、相手の攻撃を避けるため2人共一斉に動き出した。
「ははっ!全方位攻撃か!だが、数多く打てば当たるとでも?」
少女は弾幕を綺麗に回避しながら言う。
当たりにばら撒かれた弾は少女の体に当たることなく、その背後にある竹を打ち抜いていく。
「そっちこそ、そんな直線的な攻撃で当てるつもりですか?」
鈴仙も同じように弾幕を回避しながら言う。
ガトリングガンから放たれる無数の針は高速で飛来するも、銃口と同一線上から離れるように動き回る鈴仙には当たらず、
先ほどと同じように地面を抉り、竹を破壊する。
その言葉を聞き少女は笑うように
「当たるさ」
と言うと、ガトリングガンを横に振った。
「こんな風にな!」
弾が射出された先には、丁度回避行動をとった鈴仙がいた。
「ッ――!」
咄嗟に体を捻り回避運動を行ったが右肩に痛みが走る。
「避けるとは、たいした運動神経じゃないか」
動きを読まれた――!?
動揺する鈴仙に少女は言う。
「ははっ!随分驚いた顔をしてるじゃないか。そんなに不思議か?動きを読まれたことが」
そして動かない鈴仙にガトリングガンの銃口を向ける。
「どうせだ、教えてやろう。私の能力は状況把握。貴様がどれだけ動こうと、その動きは気流を伝わってこちらに届く。
たとえ直線的な弾でも動きがわかればいくらでも当てる事ができる。という事さ」
そうして少女は引き金を引いた。


「それじゃあこれで“状況終了”だ」








             ◆






『狂気の瞳-red eyes』


放たれた弾が当たると同時に、まるで煙のように鈴仙の体が消えていく。
「なっ――幻覚だと!」
周囲を見渡すが何処にも兎の姿は見えない。
「幻覚……クソッ!魔眼か!」
思えばあの兎の目は赤い眼をしていた。赤い眼と言えば魔を宿した瞳の代表格だ。
……焦りすぎたか。
そう思い、精神を集中させる。目に見えるモノが幻覚であろうと自分の能力には関係ない。そう思い、しかし。
「……情報が乱れている?」
「ええ、私の能力で少しいじらせてもらいました」
竹林の全体から響くような声が聞こえる。声で居場所を探すのは無理そうだ。
「さて、大人しく帰ってくれる?」
「冗談だろ?」
私は鼻で笑うと得物を構えた。
「ほんの少し状況が変わっただけだ。再開しようじゃないか」
その言葉を聞き、軽くため息をつきながら兎は言う。
「まぁ、私としてもいきなり問答無用で襲い掛かってきた上にケガまでしたんで……」


怒気を含んだ低い声で兎は言った。
「吹っ飛べ」




『散符 真実の月-Invisible Full Moon』




「ッ――」
先ほどより厚く量の多い弾がこちらに向かった飛んでくる。
数は多い……がこの程度なら!
そう思い回避しようとした瞬間、がくっ、と体が傾く。
そして体勢を崩された体に無数の弾が命中し、翅による制御を失った体は落下し、地面に叩きつけられた。
「ぐっ――。平衡感覚まで奪われているということか……」
体を打ちつけ、小さく呻いた私に兎は言う。
「あなたの負けです、大人しく帰ってください。あと私は犯人じゃありません」
「またそれか。私の巣に打ち込まれた攻撃はこの方向から飛んできている。お前以外に誰がやったと言うんだ?」
会話をしながら情報の計算を始める。先ほどの弾の射線を元に、乱れた情報を逆算していく。
「言っておくが、これ以上離れたらあそこまで破壊する質量は出せないぞ」
いじられた情報を推測から計算し、最も可能性の高い情報を導き出し、兎の姿を探す。
「だから私は何も知らないと……」
と、急に兎が押し黙る。少し気になったが無視して計算を続ける。
気流……弾の射線……波のズレ……。
「見つけた!」
私は銃口を予測範囲に向け、引き金を引いた。




『狂毒 アナフィラキシーショック』




ガトリングガンから放たれた針が拡散しながら目標へ向かって飛んでいく。
「なっ――!?」
兎の驚く声が聞こえる。勝った。そう思ったとき、


咄嗟に反撃したのか文字通り目の前に兎が撃った弾があった。


平衡感覚を失った体はまともな回避など取れず、無理やり顔をそらすも右目に鈍い衝撃が走る。
当たり所が悪ければ人間でも死ぬような攻撃を目に受けて平気なわけも無く、
「――っ!」
小さい呻き声を上げて私の意識は途絶えた。






             ◆






目が覚めると見知らぬ部屋で寝かされていた。
「あら、目が覚めたみたいね」
声のしたほうを向くと銀色の髪をした女が座っていた。
「ここは何処だ。……うっ」
起き上がろうとすると目に激痛が走った。触ってみると顔には包帯が巻かれており、よく見れば服も着替えさせられていた。
「なっ、私の服は何処へやった!」
「今洗濯に出してるわ。それより今はまだ起きないほうがいいわ。話は寝ていても出来るでしょう?」
そう目の前の女に言われ、渋々横になる。逆らおうにもこの状態では手の出しようも無い。
「まさか勝手に着替えさせられるとはな」
「そのままにするわけにもいきませんからね」
皮肉を言ったつもりなのだが、目の前の女はまったく動じることなく返してきた。やりづらい女だ。
「話は鈴仙から聞いたわ」
「鈴仙?」
私は女に尋ねた。
「あなたが襲った兎の名前よ」
「そうか。それで、なんで私はこんな所にいる?」
「鈴仙が運んできたのよ。事情は全部あの子から聞いたわ。結論から言えば、あの子はあなたの巣を壊してはいないわ」
「別にもういいさ。私は負けた。勝った相手にどうこう言うつもりは無い」
それが私のあり方だ。戦いを挑み、負けたのならもうそれ以上なにもしない。という。
「そう。それじゃあ次はこっちの話よ。まずその目だけれど……残念ながらもう治らないわ」
「そうかい」
私は気の抜けた返事をする
「ずいぶんあっさりとしてるわね」
「もともとそんな気はしていたし、無かったところで生活に支障は無い。強いて言うなら……傷を隠すために髪を伸ばさなければならん事か」
包帯の下に広がる痛みの範囲から、眼帯では隠しきれないような傷が出来ている事を認識しながらいう。
「そう、それじゃあ次ね。あなたの巣だけれど、私たちが直すわ。それと、近くに誰も来ないよう結界も張りましょう」
その言葉を聞いて私は驚いた。
「知り合いを襲った奴の手助けとはね。あんた正気か?」
「これは……そうね。怪我をさせてしまったお詫び。そう取ってもらえるかしら?」
そういって女は微笑む。
私は、生き残った片方の目で女の顔を見据える。……何かを隠している顔だった。
しばし私は迷い、そして
「断る理由は無いな。よろしく頼む」
そう答えた。
「そういえば、あんたの名前は?」
今まで名前を聞いていなかったことに気が付き私は尋ねた。
「あぁ、名前を聞くときはまず自分からだったな。私はファルネ。ファルネ・ワーネイトだ」
「私は八意永琳よ」


程なくして、私は永遠亭と呼ばれた屋敷を後にした。
結局、巣を壊した犯人は見つけることが出来なかったが、しかたがない。そんな時もある。
それに今後、巣に誰かが近づく事も無いようになったのだ。結果オーライ。そう私は思うことにした。
そういえば、八意と言ったあの女は一体、何を隠していたのだろうか。
今となっては巣を壊した犯人と同じように知るすべは無かった。






             ◆






「まさかあの時の宴がこんな事になるなんてね」
「反省してくださいよ師匠。いきなり襲い掛かってこられたんですよ私」
鈴仙が不満を言う。
「あら、やったのは私じゃなくて、てゐでしょう?」
「そうですけどー。方向を指示したのは師匠じゃないですか」
ファルネが襲ってきた前日に永遠亭で開かれた宴。その際にてゐが酔った勢いで放った「エンシェントデューパー」。
そういえば彼女が飛んできた方向に向けて撃たれたことを鈴仙は途中で思い出したのだった。
「おかげで酷い目にあいましたよ」
「まぁいいじゃない。あの子にはバレてないわけだし」
「うー」
納得のいかない声を鈴仙が上げる。
ここは迷いの竹林永遠亭。時折無差別砲撃が飛び出す場所。
「さて、それじゃあお祝いの宴を開きましょうか」
「またですか!?」
















【作った人の戯れ言。或いは壊滅的に時間が無い】
ソ「実はお前は俺の息子だったんだよ!」
ダ「な、なんだって!?」
ソ「因みに母親は、俺の生き別れの妹だ!」
ダ「いや、年齢考えろよ」
ソ「因みにnenecoさんは『まるで妹のように過ごしてきた幼馴染』好きだそうだ」
ダ「感想ネタにするなよ!」
ソ「まぁ、オチとしてはお前はダンケシェーンから生まれたんだがな。ちなみにビッテシェーンが今回誕生するかもしれない」
ダ「なんだそれ!?」


という挨拶だったのさ!(ぁ
って訳で、コレかいてるときの時刻が23:52です。死ぬー。いや、マジで死ぬ!
でもあとがき書いちゃう。だって男の子だモノ。
と、ふざける前にやっとかないと。


いろいろとスミマセン。


何にって、色々と。なんか謝らなきゃならない気がするんだ。
さて、ホントはもっと書きたいけど時間が無いのでこれにてお開き!


ソ「因みにお前の弟はワン・メビウスだ。通称『猛禽の目を持つ男』」
ファルネ「はぁ?」
ソ「そして姉はリラ・フォルク。通称『片羽の妖精』だ」
ファルネ「よし、吹っ飛べ!」

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