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ブルーマル・オリエント_SS

Last-modified: 2009-11-19 (木) 11:48:09 (3679d)

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僕○第49回


 メイド長決定戦が終了し、メイド長代理が決まって数ヵ月後の冬の初めに、当初の予定通りに、メイド長たちは紅魔館をしばらく離れることとなった。そして、大方の予想通りに、人手不足となったため、多くの非常勤メイドが各所から引っ張ってくることとなった。私ことブルーマル・オリエントもその中の一人だった。
「貴方が新しいメイド長? 前のメイド長はどうしたのかしら?」
 私は目の前に立つメイド長――代理とか何とか言ってたが――の……確か……何だったか?
「正確には代理です。私の名はレイナ。メイド長は現在所用で紅魔館から離れております」
 私の疑問を察したかのようにメイド長代理――レイナが答えてくれた。そう、メイド長は不在……と、それはつまり――。
「好き放題も可能? でも、この時期に私を呼んだということは人手不足?」
 私の能力は気候の変化。それも強制的に冬と同等の――ただし、冬だと私のテンションが上がって極寒となる――ものとする。そんな私を呼んだということは、よほど必死なのだろう。
「はい。正直言いまして、現状の人手不足は深刻です。他の――前回のメイド長決定戦で戦った方達にもお手伝いしていただいてはいるのですが、私ではメイド長の様には振る舞えませんから……」
 何やら大変なのだろう。パチュリー様や小悪魔もいない様子。普段は行ったことの無いような仕事を続けていたのだろうか、レイナの目からは生気が霞んで見える。これ以上の無茶は禁物だろう。
「貴女は一旦休んで」
「そういう訳にはいきません。私はメイド長の代理です。もとより、この時の為に拝命されたというのに、この期に休んでいては意味がありません」
 レイナは私の言葉を一蹴する。困った。このまま働かれては近いうちにレイナは倒れるだろう。そうなったら雑兵メイド達の混乱は必至。そうなれば今よりも効率は落ち、私のさぼれる暇がなくなってしまうかもしれない。故に私は説得することにした。
「無茶をされて倒れられてはこっちが困る。私は何を以て貴女がメイド長の代理に決められたのかは知らないが、誰もメイド長と同じ働きは期待していないはず。時には休むことも肝要。貴女は今のメイド達の要なのだから」
「しかし! 私は――!」
「まぁ待ちなさい。私も彼女に賛成よ」
「!? メルティさん!? どうしてですか!?」
 突如現れた第三者に私も驚く。レイナがメルティと呼んでた妖精メイド。ふむ、ちょくちょく見たような気がするがいいとしよう。どうやら私の代わりにレイナを説得しようとしているようなので、私は黙って見させてもらうことにした。
「落ち着きなさいレイナ。私はただ、一人で無理はしないでって言いたいだけよ。洗濯隊員である私の処は大したことはないけれど、他は違う。貴方の処だって、随分なことになってるわよね」
「だからこそ私は休むわけにはいかないのです!」
「いいたいことは理解できるわ。だから、こちらもだからこそよ。こんなときにメイド長代理である貴女に倒れられたら非常に困るの。そして、もう一つ言いたいことは――」
 と、メルティがそこまで言った辺りで、また新しいメイドが現れた。まぁ、この紅魔館の中はほとんどメイドなのだがさておき、そのメイドは穏やかな表情でレイナへと近づいた。
レイナさん。こちらの手が少しあいたので、お手伝いに参りました。……? どうしましたメルティさん? 何とも妙な表情をしていますが?」
 その言葉につられてみてみると、メルティは何ともばつの悪そうな顔で頭をかいていた。
「それに近しい言葉を私が今言うところだったの。何というか、まるで場を計ったかのような登場だったわねユーフィリア。ま、そういう訳よレイナ。今の貴方はメイド長なんだから、もっと私達を利用しなさい。貴女だけに無理をされたら、私達の立つ瀬がないじゃない」
「……メルティさん。ユーフィリアさん。そうですね。では、よろしくお願いします。メルティさん? 貴女が言い出した事ですから……覚悟してくださいね?」
 何やら、図書館の蔵書の中にあったバトル物の友情結託シーンみたいなのが発生し始めたので、私はそそくさとその場を後にし、図書館へと向かった。


 その後、メイド長代理は他のメイド達と力を合わせ、度重なる困難を打ち払い、メイド長たちが戻ってくるまで、無事に紅魔館を守りきることに成功した。
 一方その頃私は、図書館の蔵書の整理などをこなしつつ、割とこまめにサボタージュを入れながら、そこそこ平和に過ごしました。

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