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リア・フラットSS

Last-modified: 2009-07-26 (日) 19:02:22 (3767d)

SS本文

「……蟹が食べたいわ」
「どうしたんだ急に……と言いたいところだが、蟹は確かに食べたいな」
「実はとあるところに美味で尚且つ大きな蟹のいる社があるって言ったらどうするかしら?」
「愚問だな。話の流れ的に社から蟹を奪って鍋を突くに決まってるぜ」
 魔理沙の発現に霊夢は重い腰を上げた。
「じゃあ、準備をしようかしら。魔理沙も来るのよね?」
 霊夢の発現に魔理沙は首をかしげる。
「おいおい。まさか本当にそんな社があるって言うのか?」
「あるらしいわよ。紫に聞いた話だけれど萃香も頷いてたから本当の事だと思うわよ」
「ふむ。面白そうじゃないか。準備――と言っても八卦炉と箒、スペカも完備。こっちは準備ばっちりだぜ」
「こっちも準備できたわ。じゃあ、行きましょうか」
 霊夢と魔理沙は蟹を求め空高く跳びあがったのだった。


〜Stage1 蟹の亡霊〜


「……で、なんでこんなにも妖精や毛玉がわいてるのかしら?」
 博麗アミュレットで妖精とかを蹴散らしながら霊夢がそう呟く。
「ん? 妖精とかならいつもこんなもんじゃないのか?」
 魔理沙は首をかしげるが、霊夢は首を振る。
「それは異変時でしょ? 別に今回は何か異変が起きてるわけじゃないのにどうしてこんなにもわいてきているのかってことよ。後、私たちを襲う理由についてもね」
「じゃああれだ。実は他の妖怪とかも蟹を取りに来てるんだ。妖精はそれの気配を感じて動き出したってことでどうだ?」
「そんなこと起きるわけがないでしょうが……第一、例の社の事を知っているのは私達を除けば紫と萃香ぐらいよ? それに、仮に紫が参戦したからって別に異変になるわけでもないでしょうが」
「ふぅむ。だが、あえて私はその線を推し続けるぜ! その方が面白そうだからな」
「はいはい、それでいいわよ……もう。……来たわよ」
 魔理沙の発言に霊夢は嘆息しながら答える。だが、前方に不審な人影が見えたので魔理沙をとどめる。
 そこに立っていたのは深紅のプレートアーマーを身に纏い、両腕にこれまた深紅のガントレットを付け2メートルほどの大剣を抱えている少女だった。
「お前達の中に英雄はいるか?」
 少女は霊夢と魔理沙を見てそう言った。霊夢は嫌な予感がしたので黙っていたが、魔理沙は、
「私が……英雄だぜッ!!」
「この馬鹿っ!」
 霊夢は慌てて魔理沙を抑えようとしたが遅く、少女は魔理沙を見て笑った。
「そうか、お前は英雄か……ならば死ね」
 少女は大剣を振り被り突っ込んでくる。霊夢は咄嗟に避けようとしたが、すぐに気付く。少女が狙っているのは魔理沙一人だということに。
(さっきの発言が原因よねやっぱり。まず相手が何の妖怪かを判断するのが先決ね)
 霊夢はそう結論付け、魔理沙に向かって叫ぶ。
「狙ってるのは多分あんた一人だから頑張ってね」
「そりゃないぜ霊夢。まぁ、この程度私一人でも十分だがな」
「そうか、それはこちらの手間も減って十分だな」
 魔理沙の発言に少女が笑う。そして大剣を魔理沙に対して振り下ろす。
グォォオオォォーーーン!!!
 その大剣は大気を抉り襲いかかる。
「そんな大振りの攻撃なんて当たらないぜ。さて、今度はこっちの番だな。喰らえ! イリュージョンレーザー」
 魔理沙は箒を巧みに操り大剣を避ける。そして、魔理沙の周囲を追走している魔導補助機(オプション)から光速の魔法を放つ。
「くっ! 中々やるようだな。だがッ!!」
 少女は、被弾した個所を気にもかけず再度大剣を振り下ろす。
「さっきも言ったが、そんな大部の攻撃なんて――、なっ!?」
 同じように回避した魔理沙だったが、不可視の衝撃波が魔理沙を横殴りに吹き飛ばした。
「何なんだ今のは……?」
「恐らく今のは剣の力だと思うわ」
 魔理沙の疑問に霊夢が答える。
「さっき、魔理沙が避けた瞬間に剣から怨念が出ていたわ。恐らくあの剣には死者の魂なりなんなりを取り込んで放つ能力があると思うわ」
「よくぞ気付いたな。仲間のみに戦わせ、こちら側の戦力を確認していたのか。食えん奴だ。
如何にも、この剣は積愾屍氣(せきしき)。生者のもつ悔恨、つまりは愾。そして死者の魂、即ち屍氣。 それらを積み重ねることにより、この積愾屍氣は威力を増す。貴様らは己が悔恨を以て死ぬのだ!」
少女は高らかにそう言う。だが、魔理沙はそれを聞いて笑う。
「おいおい、そんなこと魔理沙さんの前で言っていいのかよ? 魔理沙さんは他人のスペカだって奪っちまう女なんだぜ? タネさえ割れちまえば怖いものなんてないぜ!」
 魔理沙は少女に対して啖呵を切る。霊夢は魔理沙が啖呵を切りながらも後ろ手で何かを上空に投擲したのを見た。だが、少女は気付かず、大剣を正眼に構え魔理沙へと突っ込んでいく。
「ならばッ! この一撃を受けてみろッ!! 砕符『シザーハンズ』!!」
 大剣を大きく振り被り斬撃をふるう。その軌跡からは無数の弾幕が発生し、魔理沙を襲う。だが、
「頭上が御留守だぜっ! 喰らいなっ! グラウンドスターダスト!」
 上空から先ほど魔理沙が後ろ手で投げた小瓶から放たれた星弾が少女を襲う。
「休む暇なんて与えてやらないぜ! マジックミサイル! そして……、ウィッチレイライン!」
さらに、体制が崩れたところを魔理沙は連撃を入れる。マジックミサイルで動きを制限し、魔力を込めた箒の突撃を少女に決めた。
「この程度、私一人で十分だぜ!」
「くっ、ここはひとまず撤退だ」
 魔理沙の勝利宣言に少女は唇をかみしめたが、振りを悟ったのか転進した。
「逃がすぜ」
「追うわよ」
「ん? 霊夢いたのか?」
「いたわよ。今回喧嘩売ったのは魔理沙だったから私は関わらなかっただけよ。それよりも早く追うわよ」
 霊夢は逃げていった少女を追う。魔理沙はすぐに霊夢の後を追い、霊夢に問う。
「なんであいつを追うんだ?」
「胡散臭いからよ。後は私の勘」
「霊夢の勘なら信じるぜ。さて、じゃあ毛玉とかを駆逐しながらの追撃戦だな」
 霊夢と魔理沙は逃げて言った少女を追いかけた。




「見たことの無い場所ね」
「そうだな。大体妖怪の山の近くだとは思うんだが……」
「……で、ここは一体どこなのかしら?」
 霊夢の呟きに魔理沙が答える。霊夢は続けて眼前に立つ少女に尋ねる。
「レテの川だ。気を付けるといい。ここの霧を一息吸えば一つ記憶を失うからな。ここはお前達の言う三途の川の別の姿だ」
「そんな場所に逃げ込むあんたは何者かしら?」
「私はリア・フラット。あのお方に、英雄の足を止めよと命じられし者。故にお前達二人の足を止めさせてもらう」
 リアの言葉に霊夢は顔をしかめる。
「なんで私も出含まれてるのよ。私は英雄なんかじゃないわよ」
「謙遜はよせ博麗の巫女。その存在だけで十分だ」
「はぁ、面倒ね」
 霊夢が諦めて、袖から護符を取り出そうとした瞬間。二人の間を一陣の光線が走った。
「黙って聞いてれば、私だけ置いてけぼりとはどういうことだ? 事と次第によっては霊夢でも許さないぜ?」
「お前達二人を止めるといった。当然お前も対象だ」
「……魔理沙? まさか一人でやる気?」
「心配は不要だ。この程度の敵にやられる魔理沙さんじゃないことを見せてやるぜ!」
「まぁいいけど……、危険だと判断したら勝手に手を出すわよ」
「そんなことは起きないだろうから、霊夢は休んでな」
「話は済んだか」
 リアが大剣を構え問う。
「ああ、今からお前は私一人で倒す」
「手間が増えるな。まぁよい。真なる絶望を味わわせてやろう」
 リアはそう言うと同時に大剣を振り上げ魔理沙を襲う。だが、魔理沙は高速機動で回避し、星弾を連続で放つ。
 魔理沙の攻撃を幾重にも受けながら、リアは笑う。
「気付いているだろうが、その程度の威力の弾などこの装甲の前にはほぼ無力だ」
「だったら、これでどうだ! 魔符『スターダストレヴァリエ』!」
 数多の星の弾幕がリアを襲う。だが、リアはそれに対し、左手で虚空から引き抜いた大剣を薙ぐことによって蹴散らす。
「一撃で弾いたっ!? それに……まさか二刀流だったとはな。少し驚かされたが、なんてことないぜ!」
「動揺しているな? 無理もない。それと我が積愾屍氣が一本だとは言っていないからな。後、勘違いが一つだ。私は二刀流ではない。なぜなら――」
 リアはそう言い、両手を振るう。すると、虚空からさらに二振りの大剣が左右に現れ、リアはそれを器用に片手で二振りずつを挟みの様に構える。リアは威圧を掛けるように四本の刃を振るいながら言う。
「――私は四刀使いだからな。まぁ、今は二本で構わんが」
 そう言いリアは二本の大剣を虚空に戻す。威圧に呑まれていた魔理沙はふと我に返り頭を振った。
「くそっ。さっきからなんか妙にペースを取られるぜ。だが、隙を見せたな。この一撃で決めてやるぜ。恋符『マスタースパーク』!!」
 魔理沙の持つミニ八卦炉から溢れんばかりの魔力が迸り、前方に存在する全てのものを薙ぎ払わんと突き抜ける。中距離から放たれたその一撃は、最早リアに回避を許さなかった。霊夢もこれで決まったかと思った。だが、
「無駄だ」
 リアの放った左の積愾屍氣の斬撃によって、『マスタースパーク』は無残にも切り払われた。
「な……、そんな……馬鹿な」
 魔理沙は思わず膝をついた。『マスタースパーク』が、魔理沙の最も信頼していたスペカが、ただの一振りの斬撃によって切り払われたことが信じられなかった。
「私の得た絶望はこの程度のものではなかったが、まぁいい。その絶望を胸に、その足貰い受けるぞ!」
「させないわよ。警醒陣!」
 魔理沙の足を狙って放たれた右の積愾屍氣の斬撃を霊夢の護符による結界が阻む。
「次はお前か」
 右の積愾屍氣を構え直しリアは霊夢を見る。
「そうね。本当は魔理沙が倒してくれれば早かったんだけれど、仕方ないわね。霊符『夢想封印――」
 霊夢の周囲に無数の霊気の弾が現れる。それらは緩やかに周囲を漂っていたが、霊夢の「――集』!!」という宣言と同時に四方八方からリアに襲いかかる。
「その程度! 甘いわぁ!!」
 リアは幾重もの斬撃を放ち霊気の弾を打ち払っていく。その姿はとても高度の演舞にも見えた。ただ……全て左の積愾屍氣で打ち払っていた。
(つまりこれは……、そう言うことね。慢心……いえ、憎悪で一直線に進んでいるだけね。それと、彼女の言葉に偽りがなければ彼女は……。全く、何の冗談かしら)
「魔理沙、行くわよ」
「か、勝てるのか?」
「魔理沙らしくないわね。随分弱気じゃない」
「あいつは『マスタースパーク』を片手で弾いたんだぞ?」
「随分ショックを受けてるみたいね。まぁ、タネはあるから安心しなさい。それよりも、今後の事を考えて、これ以上スペカは使わないでね」
「ああ……でも、」
「わかったわね」
「わかったぜ」
 魔理沙は一応頷いたが、まだ少し凹んでいるようだった。とはいえ、タネを明かしたら相手が警戒するから今は明かさなかったが……。
(これは少々荒療治が必要ね)
「魔理沙。前衛は任せたわ。可能な限り撹乱してくれれば、必殺のエクスターミネーションを決めるわ」
「わかった。いってくるぜ」
 魔理沙は箒にまたがり、飛翔する。トップスピードこそは出ていないものの、確実にリアを撹乱していた。霊夢はその間に霊気を超圧縮し一本の槍の如き針を完成させた。
「さて、化けの皮をはがす時よ!」
 霊夢はそう言い、必殺のエクスターミネーションをリアに向かって放った。魔理沙に対し、意識が集中していたリアに避けることはかなわず、左肩の装甲を貫かれた。
「くぁ! い、今のは……」
「ただの霊撃よ? そのスペルカードを無力化する剣に阻まれない普通の攻撃」
 霊夢の言葉にリアは目を見開く。
「き、気付いていたのか」
「どういうことなんだ霊夢!?」
 二人の問いに対し、霊夢はまず魔理沙に答える。
「単純なことよ。彼女が両手に持っている剣は別々の能力を持った剣で、左の剣はスペルカードの攻撃を打ち払う能力なのでしょう。
 さらに言うならば、彼女の言葉に偽りがないとすれば、積愾屍氣と言う右の剣が二本。恐らく、左の剣も同じもので二本。それを片手で二本ずつ扱うことと、スペルカード名から想像すると彼女は……蟹よ」
 その一瞬、戦場に静寂の風が吹いた。
 霊夢は嘆息をつく。
「全く、悪い冗談だわ。蟹が食べたいと思って外に出たら蟹に絡まれるなんて、魔理沙、さっさと落とすわよ。見ての通り通常技だったら普通に食らうから」
 魔理沙は納得し、ミニ八卦炉を構える。
「私が得た恐怖の分だけ、吹き飛ばしてやるぜ! イリュージョンレーザー!」
「くっ! 魂緒離に気付かれるとはな! ならば私の最大の一撃で葬り去ってくれる!! 砕断『積愾屍氣冥――」
「遅いわ。ネタが割れた時点でそっちに勝機はなくなってたのよ。宝具『陰陽鬼神玉』」
 零距離――魂緒離の接触が不可能な位置――で発動した霊夢のスペカがリアは叩き潰した。
「さて、本当なら色々と問い詰めたいところだけど、こんなところに長居する気は起きないわ。さっさと行くわよ」
「そうだな。この落し前は今度会ったときにでもきっちり付けとくぜ」
 霊夢と魔理沙はとりあえず飛んでいった。実は彼女達は社がどこにあるかを知らなかったのである。でも、適当に行けば着くだろうと思い、適当に飛んでいった。


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