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ルーシア・ブレンターノSS2

Last-modified: 2009-06-14 (日) 15:48:04 (3834d)

SS本文

一部の文章に微エログロ注意報が発令されました。この文章を読む時は、微妙に注意しましょう。


「幻覚と現実と魔法使いと人間と。」






ぐちゅ……。


「え……?」
背後からの突然の衝撃と、奇妙な音。そして腹部に微かな違和感を感じて、私は立ち止まった。
一体なんだろう。そう思い、私は自分のお腹に目線を落とすと――。
“子供の頭ほどの太さのある、自分の血にまみれた触手が、自分のお腹から生えていた。”
「ひ――っ。ぃああああああああああああっ!!」
途端感じたのは、腹部に感じる肌を焼くような熱と、意識が飛びそうになる痛み。
「な……に……?」
飛びそうになる意識を必死で繋ぎ止め、状況を確認するために後ろを見ようとした刹那、


ヒュッという空気を切る音と、


ぐしゃ!


という音がほぼ同時に鳴り、両肩と両足に触手が突き刺さった。
「ぎっ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!」
脳を焼くような痛みが体中をかけめぐり、思考を痛みで塗りつぶす。
ごふ、と口から空気の混じった血を吐き出し、ただ悲鳴とも咆哮ともつかない叫びをあげる。
全身の力が抜け倒れそうになる体を、しかし体に刺さった触手が体を支えるようにして、空中に張り付ける。
なんとか逃げ出そうと、辛うじて残った意識を振り絞り体を動かした直後、腹部に動きを感じ目を向けると、
腹部に刺さっていた触手がもぞもぞと気味悪く蠢き、そして一気に引き抜かれた。


ぶしゃぁ!


と、腹部にたまっていた大量の血液が地面に撒き散らされ、腸がぐちゃぐちゃにかき回される。
内臓が破壊された苦痛と、体を貫かれた激痛。そして、お腹の中で内臓が蠢く異物感に吐き気がこみ上げ、しかし口からは胃液ではなく黒ずんだ赤い液体がこぼれ出る。
体中から血液が大量に失われ、身体が冷たくなっていくのを感じながら、もはや声を上げる事すらできず、
自分のお腹からあふれるおびただしい量の血と、傷口から垂れる自身の内臓を……。


















「真昼間からなにやってるんだぜ……」
道端で寝転んでいると、突然上のほうから声が降ってきた。
目を開けてみると、黒の装束に身を包んだ少女がこちらを見下ろしていた。
「んー? 道端に美味しそうな茸が生えてたから食べてみたのよ」
言いながら立ち上がり、服に付いた土を叩き落とす。
食べた茸のせいか、すこしクラクラして熱っぽいが大丈夫だろう。
「それで真昼間から道の真ん中で倒れてたわけか」
「と言うか、いい幻覚(ゆめ)みてたのに。良い所で邪魔しないでよー」
そう言うと、少女はあきれた様な顔をして聞いてきた。
「いい夢ねぇ……」
「ええ、いい幻覚よ。触手が出てきてぐっちゃぐちゃにされちゃう幻覚」
「いや、そんな事聞いてないぜ……」
「ホントに凄かったのよ?圧倒的暴力で体を貫かれたり、お腹の中をぐちゃぐちゃにかき回されたり……」
ついさっきまで見ていた幻覚を思い出し、私は恍惚の表情を浮かべる。と、見れば目の前の少女の顔が赤く染まっていた。
「あはは、顔真っ赤」
「んなっ!?」
一瞬、驚いたように体を震わせると、少女は決まりが悪そうにうつむいてしまった。
私は軽くため息をつき、
「まぁ、そんなことはもういいわ。そういえば、金平糖ちゃんはどうしてこんなとこに?」
私は目の前の少女に聞いてみる。彼女はこの辺りにはあまり来ないはずだ。
「あー、何度も言ってるがその、金平糖ってのはやめてくれないか?」
「あれ、金平糖嫌いだっけ?」
「いや、そうゆうわけじゃないんだが……」
おかしな事を言う。
「じゃあ良いじゃないの。そんな事より、どうしてこんなとこに?人形フェチの家はこっちじゃないわよ?」
「いや、アイツも人形フェチってわけじゃ」
「じゃあ、人形嫌いなの? 彼女」
「それは違、あー……もういいや。こっちには茸を取りに来たんだ」
なにがもういいのだろか、あまり釈然としないが、私は彼女との会話を続けた。
「へぇー。それで、お目当ての物は見つかった?」
「まぁな。これで新しい魔法実験が出来るぜ」
それを聞き、私はかねてからの疑問を投げかける。
いつもなら、決して訊く事の無い問いを。
「金平糖ちゃんは将来……魔法使いになるの?あぁ、種族としての魔法使いね」
それを聞き、少女はきょとんとした。
「どうしてそんなことを聞くんだぜ?」
「だって、魔法使いって言うのは人間を捨てて、狂気を得るってことよ?」
私は答える。私が今までの時間をかけて出した答えを。
「確かに魔法使いになれば、長い時を生きられるし、空腹に苦しむ事も無い。でもそれは人を、“普通”を捨ててまで手に入れる物?」
少女は黙って私の話を聞いている。真っ直ぐ、私の目を見て。
「貴女の知り合いの魔法使いに、まともな人間してる知り合いって居る?人形偏愛者だとか、本の傍から離れようとしない社会不適合者だとか、
私みたいな性的倒錯者(パラフィリア)だとか。どれにしたってまともじゃないでしょう?だから私は言うわ。人として生きて死ぬべきだって。
魔法使いなんてならずにね」
言い終え、私は彼女を見据える。綺麗な金色の髪に、黄色の瞳。そして、私には手に入れられなかった人間らしさを。
彼女はほんの少し沈黙し、そしてはっきりとした口調でこう答えた。
「それはあんたが出した答えだろ?私は私で、答えを見つけるさ」
解っていた。彼女ならきっとそう言うだろうと。
「そう……いやー、ゴメンネ。変な話しちゃって」
「別に気にしてないぜ」
彼女は本当に気にしていないかのように、笑顔で言った。
「それじゃあ、私はもう帰るぜ」
「ん、さようなら。今度会う時はお詫びに何かあげるわ」
彼女は期待してるぜ。と言いながら箒にまたがった。
そして、とん――。と地面を蹴り、空へと舞い上がっていった。
きっと彼女は最良の答えを見つけるだろう。彼女にとっての最良の答えを。
なんだかそんな気がした。










【あとがき。もしくは書いた人の戯言】
壊滅的に時間がねぇ!(挨拶
そんなこんなで、SSですよ。しかも二つですよ。
もはや気分は
燃え尽きたぜ。真っ黒に。
ですよ。インド人もびっくり。
さて、そんなこんなでこんな稚拙な文章を最後まで読んでいただき感謝感激雨霰。
しかしまぁ、もっと精進していきたいです。とりあえず、来週ある小説の書き方の講義を受けてこようかと。
あー、もっと精神的にクるグロっぽい話が書けるようになりたいです。
あと、頭が蕩けそうになる甘々な純愛も書けるようになりたいです。
あっと、忘れるところだった。感想とかあったら書いてくれると喜びます。
ネガティブでも喜びます。と言うか、ネガティブなのは幸せだと思うんですよ。ええ、チェーンソーは刃です。
まぁ、そんなこんなでまたいずれ。


ああ!ジャン・ルイがやられた!




追記 彼女は多分、最初から技巧レベル3とか持ってると思うんだ。手先器用だし。

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