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火浚 時音,火浚 音羽SS1

Last-modified: 2009-06-14 (日) 15:02:35 (3630d)

SS本文

 どうも、火浚音羽(かさらい おとは)です。この間文さんがやってきて、私たちのことを記事にしたいから日常について教えてほしいと言われたので、私たちの一日を記していこうと思います。


「ふぁあぁ。……うん。今日も一日がんばろう」
 お店の仕込みとかもあったりするので私が目を覚ます時間は割と早いです。まず顔を洗い、厨房に行って今日の分の黒糖プリンの仕込みをします。黒糖プリンは私たちのお店――黒蜜堂で一番人気の品です。余りに人気で売り切れは確実なのでここ最近は私も食べられません。……手間暇がかかるんです。後、こっそり作って食べると姉さんに確実にばれて怒られてしまいます。
 まぁ、それはさておき仕込みです。実はこの時には気づいていませんでしたが、もう店の前には数人が寝ずに並んでいたみたいでした。でもきっと、もし私でも並んでるような気がするので別に何とも思いません。
 仕込みが終わったら、朝食の準備をしながら姉さんを起こす準備をします。と言っても厨房からフライパンとお玉を取りだすだけです。あっ、先に言っておきますけど別にお玉でフライパンを叩いたりしませんよ? そんなことしたら近所迷惑じゃないですか。姉さんは殺気とかに敏感なのでこれで本気で殴ろうとすれば、勝手に目覚めて防御します。最初は包丁を持って行ったんですが、弾かれて頬を切ってからは無難にフライパンにすることにしました。
 さて……と、姉さんの部屋までやってきました。相変わらずまだ寝てるみたいです。私は寝ている姉さんに向かってフライパンを振り上げながら、
「姉さーん。朝ですよー」
 そう言って、勢いよく振り下ろした。
ガキィン!
「!? 音羽? おはよう」
 私の姉さんである火浚時音(かさらい ときね)はガントレットでフライパンを受けとめながら、寝ぼけた口調でそう言った。
「はい。姉さん。もう朝ですよ。朝食の準備もそろそろ出来るのでちゃんと降りてきてくださいよ?」
「うん。わかった。すぐに行くから」
 姉さんが寝ぼけながらではあるものの、きちんと返事をしてくれたのを聞き、私は厨房に戻り、朝食の準備を再開した。
 朝食の準備が終わったころにようやく姉さんは仕事着に着がえた状態で降りてくる。一応現在は私と姉さんの二人だけなので、制服というものはないが、姉さんは黒色の牡丹の花の着物を身に纏っている。ちなみに私は赤い女袴の上にエプロンをつけているという感じです。まぁ、そろそろバイトを雇おうとは考えてはいるんですが……。まぁそれはさておき、
「姉さん? 今日は確か予約の類はありませんでしたよね?」
「確かなかったと思うけれど? 急にどうしたの?」
「いえ、一応先に確認しておきたかっただけです」
「ふぅん……そう?」
 姉さんが疑り深げに私を見てきたが、実際に他意があったわけでもないからそんな風に見られてもなにも出てこない。
「それよりも姉さん。食事が終わったら玄関の掃除をしてくださいね。そろそろ店あけますから」
「わかったわ」
 ずっと二人でやって来たから、ここらの会話はほとんど阿吽の息で合わせられる。私は姉さんが玄関の掃除をしている間に、食器を洗い場に運び、粗熱を取っておいた黒糖プリンを冷蔵庫の中に入れておく。普段通り冷やしてあるプリンが15、常温のプリンが15である。一応、このプリンのうちどっちが先に売り切れたかでお昼のサービスの種類を決めることもあるので、ここら辺の確認はそこそこ重要である。
 そんな風に時間を潰している間に、開店時刻になった。姉さんが早速お持ち帰りの人たちの列を連れてくる。
「すいません! 黒糖プリン一つください!!」
「私は黒糖プリンとお団子10本!」
「こらっ! 押すんじゃねぇ!! って、割り込みすんじゃねえよ!」
 この光景も見慣れたものである。私は慌てずに、ちゃんと並んでた通りに順番に相手をし、割り込みや、一人1品の品を複数注文した人は後回しにして注文をさばいていく。最初の方こそ激しいものの、目当ての黒糖プリンが売り切れると途端に静かなものになる。
「ふぅ。今日も朝の一番忙しい時間を超えることができたわ」
 私は深くため息をつく。黒糖プリンが人気なのは構わないが、これだとほとんど同じ人しか買えていないよな気がする。売れていること自体は結構なことだが、欲張りだと思われるかもしれないけれど私はもっと色んな人に両親が考えた黒糖プリンを食べてほしいと思う。とまぁそんなことを考えながら私は午前中のまったりとした時間帯を過ごしていた。
 お昼を過ぎたころ辺りから黒蜜堂はにぎわい始める。人だけでなく妖怪も店にやってくることがある。妖怪はお金を持っていないことが多いが、代わりに適当なもので物々交換みたいに持ちかけてくることが多い。例えば、
「あれ? ミスティアさんじゃないですか? どうしたんですか? こんな真昼間に?」
「ルーミアにお土産でも持っていこうかなと考えてね」
「見たところ手ぶらのようですが?」
 夜雀であるミスティア・ローレライさんは普段は八つ目鰻とか果物とかで交換してくるのですが今日は何も持っていません。
「私の歌でどうかな? 気分が良くなるやつで」
「そうですね。夜雀としての力無しのやつでしたらお饅頭とお団子を渡しましょう」
「いいわよ。それじゃあいくわよ〜!」
 ミスティアさんはそう言い店の中央で歌いだす。店には一応『弾幕ごっこ等禁止!』という張り紙をしているから、突然妖怪が何か行っても慌てて逃げ出すお客はほとんどいない。しばらくの間、ミスティアさんの華麗な歌声が店内を満たした後、ミスティアさんはお饅頭とお団子の入った風呂敷包みを持って帰って行った。
 まぁ、このように何かしらで交換を行う妖怪はまだいい方である。問題はと言えば……、
「あら? 今日も繁盛してるみたいね」
「また来たぜ。と言っても今日は霊夢に付き合ってきただけなんだがな」
 新たな客は博麗霊夢と霧雨魔理沙である。
「……一応聞いておきますが、今日はツケ払ってもらえるんですか?」
「そうね。とりあえず今日はつけとくわ」
「霊夢がそう言うんだったら私もそうするぜ」
「…………」
 そう、この二人は基本的にツケで済ます問題児である。というより、最早どれぐらいたまってるか計算する気も起きない。もういっその事身包みでも剥いでやろうかしら? まぁそんなことしないけど、
「ちょっと霊夢、魔理沙、勝手に行かないでよ。なんで付き添いに来た私だけが閻魔さまに説教受けなきゃいけないのよ」
「あれの話正直長いのよ。とてもじゃないけど通常時に聞きたくはないわね」
「まったくだ。それよりもアリスは座らないのか? ここの菓子は絶品だぜ?」
「まぁそうさせてもらうわ。まぁここは私もよく来るけれど、音……羽?」
 アリスさんは私の顔を見て何事かと考え、次に霊夢さんと魔理沙さんの顔を見渡し合点が付いたような顔をして訪ねてきた。
「もしかして二人ともここでもつけてるの?」
 アリスさんの言葉に霊夢さんも魔理沙さんも私もそろってうなずいた。それを見たアリスさんは深いため息をつき、
「はぁ、と言っても今日はそれほど手持ちがあるわけでもないから、今日はこれで見逃してくれないかしら?」
 そう言ってアリスさんは私に1体の人形を手渡してくれた。モチーフにしてあるのは恐らく姉さんだろう。どことなくそんな雰囲気がする。
「本当は普通に渡すつもりだったんだけれどごめんなさいね」
 アリスさんはそう言った私に笑いかける。その笑顔を見たら、少し心が穏やかになった。
「はい。今日は一応見逃してあげます。とはいえ、無理にお金でなくてもいいから、次には何か持ってきてくださいね?」
 私のその言葉に二人ともうなずいてはいたが、いったいどこまでが本気なんだろうか。まぁともあれ、しばらくしたら3人とも出て行った。入れ違いに姉さんがやってくる。
「音羽。何もなかった? 先ほどから不穏な空気を感じていたけれど……」
「大丈夫よ姉さん。そんなに心配しなくても、私だって昔のままじゃないんだから」
「わかってはいるけれど、……確かにちょっと過保護すぎるわね」
「でも、私は姉さんが心配してくれるのは嫌じゃないからね。さて、そろそろ閉店の時間だから姉さんは玄関辺りを掃いといて。残りのお客さんは私が相手しておくから」
「わかったわ」
 姉さんは箒を持って玄関にいく。私は残ったお客さんの相手と会計を済ませておいた。日が暮れてくると黒蜜堂も店じまいを始める。従業員に余裕さえあれば、もう少し長く営業もできるだろうけど、二人でやっている今はこれくらいが限界だ。下手に長引かせると明日の仕込みが間に合わなくなる恐れがあるからである。
 そんなこんなで、明日の仕込みを始める。とはいっても団子の生地を練って冷蔵庫の中に入れたりとかそんな感じのことだけである。仕込みがひと段落ついたら晩御飯の用意。晩御飯の用意には姉さんも手伝う。しばらく経てば二人の晩御飯が始まる。
「「いただきます」」
 二人で一緒に手を合わせ、食前のあいさつをする。二人で生活しているうえで、食事はよほどのことがない限り一緒に食べることにしている。姉さんとは血のつながった本当の家族ではないけれど、私たちは本当の家族と一緒だと思ってるし、だからこそ、私が失ってしまった家族との時間を代わりにいてくれようとする姉さんの気持ちには応えたいと思っている。
 食事が終わればお風呂。今日は別々に入っているけれど、今でもたまに一緒にお風呂に入ることがある。姉さんの華奢ながらにしっかりとした体は私の目標みたいなものである。
 お風呂が終われば、まだ仕込みが残っていれば仕込みをしてから、残ってなければすぐにでも睡眠の時間である。正直に言うと、色々やることが多くて、お風呂に入って、仕込みを終わらせたころには日をまたいでいたというのもよくある話である。そんな感じなので、早めに眠れる時は早めにぐっすりと眠るわけである。
 これで私たちの一日が終わる。


 ……あれ? 一通り書いてみたけれど、これじゃあ私たちじゃなくて私だけの一日を書いてるような気がする。う〜ん。こんなのでいいのかなぁ? まぁ、そういうのは文さんに直接聞けばいいか。それじゃあ、そんなわけで私たち、火浚音羽と火浚時音の日常を綴りました。


End.

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