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金森 緑_SS

Last-modified: 2010-05-02 (日) 00:19:57 (3515d)

SS本文

僕○第79回


(注)この話の設定は2007年となっています。




『法令の一部変更により、5月4日はみどりの日に――祝日に昇格しました』
「…………えっ?」
 金森緑は街頭の大型テレビから聞こえてきたニュースに耳を疑った。もし、今聞こえてきた事が真実であるならば――彼女の存在の8割近くが奪われてしまうからである。
 さて、説明が遅れたが金森緑は普通の人間ではない。とはいえ別に悪の秘密結社の改造人間だとか、宇宙から飛来した恐怖の大王だとかそんなものではない。ただの巷で話題に上がる擬人化少女である。ただし、その擬人化の対象が祝日であるが……。
 その中で、金森緑のカテゴリは「国民の休日」。所謂ゴールデンウィークの間に挟まってる5月4日の事である。……失礼。祝日と祝日の間に挟まっている日の事である。ちなみに最近ではシルバーウィークを構成する9月22日も「国民の休日」だが、出現は非常にまれである。次の予定は2年後で、更に次は6年後、更に次に至っては11年ごとどんどん飛んで行ってしまう。そんな不安定な日である。
「流石に……そんなことはない……よね?」
『法令の一部変更により、5月4日はみどりの日に――祝日に昇格しました。大切なことなので二回言いました。ちなみに4月29日は昭和の日になります。ようやく復活しました』
「…………うそ」
 あろうことか二回言われた。ちなみに昭和の日の復活とは、元々4月29日は昭和天皇の誕生日で記念日だったのである。まぁ割愛。それはともかく、これで国民の休日は数年に一度のオリンピック並みの出来ごとになってしまいました。というより私が喋りすぎな気が? と、だれか来ましたね。
「み、緑ちゃん大丈夫!? さっきのニュースを聞いて慌てて来たんだけどっ!」
「御月?」
 彼女は振替御月(しんたいみつき)。名前で分かるかもしれないが、「振り替え休日」である。一応補足しておくが、「国民の休日」と「振り替え休日」は祝日法の第3条第2項においてちゃんと祝日とされてます。余計な事ですが一応。っと、彼女達の会話を見逃すところでした。彼女達の方に向かいましょう。
「……御月、ごめん……。私……もう、無理っぽい」
「緑ちゃぁあん!!」
「……御月……、不甲斐ない友達で……御免……」
「しっかりして緑ちゃん!! 駄目だよっ! お願い! 諦めないでぇっ!!」
 何やら見てないうちにドラマ化してるみたいです。まぁ、彼女が発狂(?)する気持ちもわからないではありません。誰しも決して譲れない物とかアイデンティティとかありますからね。それが失われれば自然とこうなるのかもしれません。
「起きて緑ちゃんっ! お願い起きてぇっ!!」
「御月……? どうして、そこまで私を……?」
 なんとっ! 御月の涙を見て緑は冷静になった! いや、セリフだけみるとまだ冷静じゃないかもしれない。でも、自暴自棄ではなくなったのは確かのようだ。
「だって! だって緑ちゃんはっ!! 私の――」
 おぉっ! これはなんだかいい雰囲気な気がしますね。……はい? さっきから私が邪魔? まぁ気にしないでください。それよりも続きが気になります。
「……私の?」
「私の大事な友達だもんっ!! 私が辛い時には、いつも緑ちゃんがいてくれたもん!! だから、緑ちゃんが辛い時には……緑ちゃんが辛いときくらいは私だって……私だって緑ちゃんの力になりたいのっ!!」
「……御月。貴女そんなこと……」
「私だって今緑ちゃんの力になれないことぐらいわかってる!! けど……それでも今の緑ちゃんを一人に何か出来ないよっ!!」
 おぉっ!! 余りに友情が眩しくて心がぐっさり貫かれた気分です。いやぁ、いいですねぇ友情。別に私は二人を変な目では見てないんですがねぇ(遠回しな自白)。
「ありがとう御月。私……もう少し頑張って見る」
「緑ちゃん!」
 そうして、一時は立ち直った緑でしたが、まぁ、日が経てば経つほどに実感する失われた自身の半身以上の物。少しずつ蝕まれていく緑。そんな緑の前に現れる謎の人物。緑の半身以上は失われたが、緑の人生はまだ終わっていない。
 緑を中心とした物語はまだまだ続いて行くが、それはまた別の機会に語られることとなるだろう。まだ、新たな「国民の休日」が生まれてくる可能性は残されているのだから。

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