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雪国 舞姫SS

Last-modified: 2009-06-14 (日) 15:21:17 (3837d)

SS本文

「茸の観察日記 妖精が妖怪、さらには魔法使いになるまで。……重要そうなところのみ抜粋」


○月3日
 今日から魔法の森で茸について観察していこうと思う。魔法の森には魔法の茸があるというので、これこそ私の求めたものだと思う。よって、これより魔法の茸を捜索しようと思う。例え何日かかろうともっ!


○月4日
 見つけました、魔法の茸を。……昨日の意気込みはなんだったんだろうと思うほどあっさりと見つけてしまったが、まぁ構わない。とりあえず、この茸を観察していこうと思う。
 ちなみに、私にはこの茸がなんの茸なのかはわからない。なにしろ私は別段茸に詳しいわけではないからだ。ただ、何となく茸について観察してみようと思っただけなので、適当に成長過程でも見てみようかと思う。


○月12日
 なんとっ! 驚くべきことがあった。今の今まで気付いていなかったが、この茸には妖精がついていたのだ。より正確に言うならば、この茸についている妖精と言うよりはここら一帯の茸を統括している茸の妖精なのだろう。
 私の興味はすぐさまその妖精にシフトしたため、次回からはこの妖精を観察していくことにしよう。先に言っておくが別に私は飽きっぽいとかそんなことはないので悪しからずだ。
補足 この妖精は全長が約100cm弱で腰まで伸びた銀髪、瞳の色は……こっそり観察しているので正直よくわからんが、腰の処にポケットのあるふんわりとしたワンピースを着ていて、常に何かしらの茸などを持った4枚羽根の愛くるしい外見をしていたと記述しておこう。


○月13日
 先日も言った通り、今日からは茸の妖精を観察することにする。先日の捕捉にそれっぽく書いてたが、私の観察とは対象の知覚外の遠距離から、河童から入手した高倍率双眼レンズと「雑音の入らないクリアな音質」をウリにした集音機を手に周囲状況を含めた自然な情報を集めているのである。……怪しくないぞ?
 こほん。まぁそこらはいいとして、上記の装備を手に私は茸の妖精の観察を始めたのである。
 早速観察していると、茸の妖精は10cmを超える大物の松茸を大事そうに抱えながら、人里まで下って行っていた。私は気付かれない程度の距離を保ちながら追っていく。
 茸の妖精は人懐っこい性格をしているのか、人里につくとすぐに、近くにいる人に対していい色をしたおっきな松茸を掲げながら「私の茸はいりませんか〜?」と言いながら突っ込んでいった。逞しくて立派な松茸を掲げた妖精が、突然突っ込んできたため、人里は小規模のパニックになったが、茸の妖精は気付いてか気付かずか、はたまた気にしてないのか、手に持った松茸を人に勧めている(と思う)。
 しばらく、それが続けられていたが、騒ぎに気付いた里の守護者である上白沢慧音がやってきて茸の妖精をしばきのめした。
 ちなみに松茸は、上白沢慧音に説教されたのちの帰り道で博麗の巫子に襲われて奪われていた。


○月20日
 茸の妖精は今日も人里に向かって行っていた。ただし今日はその手には何も持っていない。これは何か起きる予感がすると思い、今日もまた追っていくことにする。
 茸の妖精が人里についた時、人里ではちょっとした事件が起こっていた(集音機が気になる音を拾ったので双眼鏡と集音機で先に何があったのかをちょっと見てみたから私は知ってたのである)。食中りで数人の男性が倒れていたのである。薬売りは今日は来ていなく、持ち合わせの薬も切れていたらしく、つい今しがた上白沢慧音が迷いの竹林まで走って行ったということらしい。
 そんな様子を見た茸の妖精は、腰のポケットから冬虫夏草(と思われるもの)を取りだした。何故、私がそんな書き方をしたかと言うと、その冬虫夏草(と思われるもの)は、おおよそ30cmぐらいの虫らしき物体に寄生し、天を貫かんと伸びていたからである。……そもそも、どのようにしてあのサイズのものがあんな小さなポケットに入っていたのも気になったが、まぁ気にしないことにしよう。
 兎にも角にも、突然そんなものを出された里の人たちは混乱に混乱を重ね、阿鼻叫喚とも言えるほどの混乱を見せていた。茸の妖精は、そんな周囲の状況を気にも留めずに、冬虫夏草(と思われるもの)を磨り潰し、(おそらく)漢方薬を作ろうとしていた。
 直後に、偶々里にいた霧雨魔理沙のマスタースパークで吹き飛ばされてしまったが。
 茸の妖精はその後、とぼとぼと魔法の森まで帰ってきて、いつも寝場所にしている木の根元に座った。その後、溜息を吐き、「やっぱり妖精じゃあ駄目なのかなぁ」と呟いていた。
 正直、妖精とか関係なく、その時ごとの行動が問題だと私は思ったが、あくまで観察が目的なので、遠くから見守ることにした。


○月21日
 なんとっ! 驚くべきことがあった。ってなんかこのフレーズつい最近使ったような気がするがそれはさておき、驚くことがあった!
 朝目が覚めると、茸の妖精が妖精ではなくなっていたのだ!!
 何を言っているのかよくわからないと思うがそれは私もだ。ただ、一つ言えるのは茸の妖精……じゃないのか、まぁとりあえず便宜的に茸と書くが、茸の外見が変わってしまったのだ。まず第一に身長が130ぐらいまで伸びてた。それだけだったら、ただの成長期で納得してしまいそうだったが、背中の羽根が全部なくなっていたのだ。羽根がない妖精はいないだろうから、妖精=羽根は私の中では絶対。よって茸はもはや妖精ではなくなったのだ!
 ああ、後説明してなかっただろうからここに書いておくが、今現在私は魔法の森で寝泊りをしていて、茸が眠ったのを確認してから眠り、茸が起きるより早く起きるという生活をしている。……別にストーカーとかそんなのじゃないぞ?
 まぁそれはさておき、茸が目を覚ました。茸も突然の自分の体の変化に驚いていたが、しばらくすると、「私、妖怪になったんですか?」と呟いたのが聞こえたので、私は茸を元茸の妖精改め、茸の妖怪と呼ぶことにした。よって以降からは茸のことを茸の妖怪と記すことにする。
 その後は、茸の妖怪は体調の変化があったのか、「す、……すごい……。身体の中……熱いので……、いっぱい……」といった感じで私を萌え殺すような発言をしながらも、特にこれといったことをしなかったので、本日の観察分はここまでとする。……ベ、別にこの後にあったことを記したくないというわけではないからな!


○月27日
 何やらここ最近の茸の妖怪の動きがおかしい。まだ観察してから一月も経ってない程度の私の懸念だが、恐らく間違ってはないと思う。
 ここ最近の茸の妖怪は人里に赴かず、茸を模したような衣装と茸の傘を模した帽子を身に着け、日が昇ってから日が落ちるまで魔法の森の中を彷徨い歩き、夜が更ければ眠るといった行動を妖怪になった翌日からずっと繰り返していた。
 一体、その行動にどんな意味があるのかはわからないが、とりあえず、まだ観察は続けていこうと思う。


○月28日
 ようやく、茸の妖怪が何をしていたのかがわかった。茸の妖怪と魔法の森の妖精の会話を盗み聞く限りでは、どうやら、茸の妖怪は魔法使いになろうとしていたのである。元からの力や、種族の特性などから、茸の妖怪は生まれながらにして魔法使いとなる素養があったのだろう。ここ数日の行動は、周囲の魔法の茸から、魔法的な知識を得ることと、強くなった力を制御する術を習得するためだったらしい。
 そして、先日ようやく捨虫の魔法を体得し、晴れて種族が魔法使いに分類される状況になったらしい。……以降より、茸の妖怪改め、茸の魔法使いと記すことにしよう。この調子だと後一回は呼び名が変わりそうな気がするが、まぁ気にしないことにしよう。


○月29日
 魔法使いの修業の際に、自身の持つ茸などの胞子を用いた薬学関連も特化したらしく、茸の魔法使いは、様々な効能のある粉末を区分けして入れてある小さな小箱を腰のポケットに入れ、人間の里へと向かって行った。
 人間の里につくと、茸の魔法使いは『薬あります』と書かれた看板を持ちながら、道端で薬師としての商いをしようとした。だが、茸を模した服装に帽子を被っている怪しげな人物に近づく者もなく、また、怪しんだ霧雨魔理沙や博麗の巫子に襲われたりなど、ささやかな不幸な目にあったりした。


○月31日
 ○月の29日から、これと言って変わったこともなく、これ以上の変化も望めないと思われるので、今回の観察はこれにて終了としようと思う。……べ、別に飽きたとかそんなわけではなく、さりとて愛らしいあの茸の魔法使いをとおわきから見るだけというのに耐えられなくなった為だとかそんなわけではないので悪しからず。
 今回は様々なことがあったが、それ故に、今回の観察を行ってよかったと切に思う。
 願わくば、この日記を開き読むことによって、あの茸の魔法使いについて深い理解を持ってくれることを……。


End.

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