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朝霧 不要_おまけ

Last-modified: 2010-01-31 (日) 20:54:54 (5192d)

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僕○第66回


後に"忘却の月"と呼ばれることとなった日。不要は敬愛する母様に会いに東京に向かう新幹線の中で、存在感の希薄な少女と出会う。他の乗客は少女には気付いていなかったが、気付いてしまった不要は少女に声をかけようとしたが、それより先に少女は次の駅で降りてしまった。どうしても気になってしまった不要は母様に送れる旨を伝え、少女を追うことにした。
足は速くないのだが、人の波や信号を意ともせずに通り抜けてゆく少女に不要は中々追いつくことが出来ず、不要が少女を捕まえたのは、既に日が没した後だった。
不要が少女に何かを聞こうとしたその瞬間、まず電気が切れた。街灯は軒並み灯りを消し、夜の闇は月明かりのみによって照らされた。次に、不要の持っていた携帯・時計が突然その機能を停止させた。そして、東京を中心に不可視の衝撃と爆音が響き、辺りのビルと言うビルが破壊された。
突然のことで不要は混乱したが、すぐに東京にいる母様のことに思い至り駆けようとするが、少女に静止の声をかけられ止まる。突然の状況、少女に声をかけられた事、供給の焦りで不要はまともな思考をする事が出来なかった。だが、少女の次の言葉でそんな些末事は全て忘れてしまった。少女は淡々と言った。
「これを起こしたのは朝霧滅義怒。それを制せるのは朝霧不要貴女だけ。故にここで死に往かせる事は出来ない」
何故、少女が自身の名を知っているかなどは不要にとってはどうでもいい事であった。ただ、母様がこれほどの事を起こした事に驚愕した。だが、心のどこかで母様ならこれを行うことも可能だと不要は思っていた。不要は少女にならばどうすればよいのかを尋ねた。少女は頷き、京都に向かう旨を伝えた。そこで修業をしてもらうと。不要は頷いた。これが母様の起こしたことであるならば、それを止めるのは私以外に認められないと、不要はそう心に決め、少女の導きのまま京都へと歩みを向けた。
そして3年後、修行の途中で見についた異能「逆しまなるの力(インヴェルズィオーン)」とそれの中で尚人を殺す為の右腕を手に、不要は月御見へと向かった。その際に少女より教えられた「何人も要せず、如何人も擁さず――不ヨウたれ」の言葉を胸に秘め。

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