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藤倉 真言美_SS

Last-modified: 2009-09-06 (日) 07:19:53 (3753d)

SS本文

僕○第31回


第31回僕の考えた理想のヒロイン。SSという名の会話集by涼名


【イベントシーンサンプル】
(図書室にて)
「あ、いたいた。お〜い、藤倉。先生が呼んでいたぞ」
「…………(ぶつぶつ)」
「ん? (本を読みながら独り言? 内容に夢中で気がつかないのか。)おい、藤倉ってば!」
「ひゃう!! え? わ、○○君? え、ええと、な、何か用?」
「ああ、先生が呼んでたぞ」
「あ、そ、そうなの。あ、ありがとう。…きゃ!?」
藤倉はあわてて立とうとして机の角に軽くぶつかり、顔を真っ赤にしてうつむきながら図書館から出て行った。
「俺、そんなにびっくりさせちゃったかなぁ?」


(図書館にて)
「へえ、藤倉ってそういう本も読むんだ」
「うん。普段は、その、恋愛小説とかよく読むよ。あと児童文学とか、童話なんかも結構好きなんだ。」
「もっと堅い本ばかり読んでいるのかと思ったけど、そうでもないんだな」
「やっぱり、甘い素敵な恋物語には憧れちゃいますし、童話なんかは意外と話が奥深くて面白いんですよ、何よりも夢があります。ああ、そうだお勧めのシリーズがあるんですが……」
そう言うや藤倉は、俺を童話の棚まで引っ張っていき本の紹介をし始めた。自身の感想を織り交ぜた内容の説明に始まり、表現方法の素晴らしさや著者の裏話まで、本当に楽しそうに話し続けた。
(こんなに生き生きと話をする藤倉は初めてみた。本当に本が大好きなんだな)
その後、ニ時間ほど彼女の話は終わらなかった……


(文芸部部室にて)
「藤倉って、自分で小説書いたりもしてたのか。すごいなあ」
「そ、それでね。今、書いている作品があるんだけど、少し読んで感想を聞かせてほしいの」
「え、俺でいいのか? 本なんてあんまり読まないから気のきいた感想なんて言えないかもしれないぜ」
それでいい、そういう人の率直な意見も聞きたいから。と、藤倉に言われ、俺はその小説を読み始めた。
(内容は……ラ、ラブロマンスか、読んでいると何か恥ずかしくなるよな。ん? この登場人物は……)
ひとしきり読み終えた俺は顔を上げる。
「ど、どう?」
「正直、この手の作品には抵抗があったけど、面白かったよ。ヒロインが好きになった男と手に手を取ってハッピーエンド。わかりやすい話でよかった。ただ…」
「ただ?」
「このヒロインと結ばれる男の設定が、なんとなく俺に似ていたかなぁ、なんて」
「!!」
ぼんっ。っという音が聞こえてきそうなくらいの勢いで藤倉の顔が真っ赤になるのがわかった。
「いいいやだなぁ。そ、そう? 気、気のせいだよ。うん、気のせい気のせい」
なぜか藤倉はあからさまに動揺していた。


(バイト先にて)
「え、藤倉!? 藤倉もここでバイト始めたのか?」
「う、うん。これは…、そう取材なの、取材。実は今度の小説にこういう所の描写も取り入れたいなと思って。ま、まさか○○君もここでバイトしているなんて知らなかったわ。うん、ほんとに知らなかったのよ」
「そうか、奇遇だったね。でも、藤倉ってバイトとかしそうな雰囲気じゃなかったから驚いたよ。小説のためにそこまでするなんてすごいな」
「そ、そう?」


(夕日に染まる文芸部室にて)
最近、なぜだか元気がない様子の藤倉。心配して文芸部室まで来てみたが、そこには目に涙を浮かべ一人たたずむ彼女がいた。
「書けなくなった!?」
「うん、今度の作品はどうしても以前賞を取った作品よりも良いものにしたくて。頑張っているんだけど、どうしても良くならなくって、そうしたら、全然書けなくなってた。私、どうしたら……」
辛そうな顔をする藤倉を見ていたら、なんとなく藤倉が書けなくなった理由がわかった気がした。俺は、そっと藤倉の手を取る。
「あ、ちょっと、え」
急に手を取られてうろたえる藤倉。構わず俺は話を始める。
「なあ、藤倉。お前、いままで『いいものを書こう』なんて思って作品を書いたことなんてなかったんじゃないのか?」
「え?」
「本が好きで、物語が好きで、書くのが楽しいから書いてきた。そうじゃないか? だからきっと書けなくなってるんだよ。無理にいいものにしようとしなくたって藤倉が楽しんで書けばきっといいものができるよ」
びっくりした瞳で俺を見つめる藤倉。
「それに俺はさ、今の辛そうに泣いている藤倉より、楽しそうに本の事を話してる藤倉が好きだからさ」
「!!!」
藤倉の顔がまた一瞬で真っ赤になった。少しうつむき加減に目をそらし、小さな声で
「うん、ありがとう」
と言ってくれた。


(ED)
「この本は、あなたに気持ちを伝えたくて書きました。受けっとって下さい、私の心ごと」

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