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餘坪 璃甲_SS

Last-modified: 2010-05-19 (水) 10:36:57 (3292d)

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僕○第91回


 妖怪の山には、この幻想郷には存在しない「海」というものを知っている大妖怪がいるという。だが、妖怪の山は排他的な土地であり、山の者以外が近づくと襲われてしまう為、山に近づく者はほとんどいなかった。
 だが、今回この妖怪の山に近づく者たちがいた。総勢4名の妖精と妖怪の組み合わせ。巷でバカルテットと呼ばれている者たちだった。


「そう言えば……今日は大妖精来てないのね」
「いわれてみれば……どういうことチルノ?」
「大ちゃんは何か用事があるって言ってた。あたいの活躍が見せられないのは残念だけどしかたないね」
「そーなのかー」
「それじゃあチルノ軍団出発するわよ!」
「「「おー(なのかー)!」」」






「山に侵入者がいると聞いて来てみたのですが、貴方達がここになんの用ですか?」
「あたいたちは「うみ」を知ってる妖怪を倒しに来たのよ!」
「璃甲様を……倒す? そういう事情なら通すわけにはいきませんね。大人しく帰るか、痛めつけられて帰るか選んでください」
「ちょ、ちょっとチルノ何言ってるの!? ち、違うよ! 私たちはただ「海」を知ってる妖怪から、「海」がなんなのか聞いてみたいだけだよ!」
「そーなのかー」
「そうなの!」
「まぁ……その程度であれば……本来は良くはありませんが認めるのも吝かではありません」
「本当ですか!?」
「ただし、通すのは一人だけにしてもらいます。後、その氷精以外で」
「なんであたいはだめなのよ! むきー! 今ここで氷漬けにしてきょうこうとっぱよ!」
「では、私がこの氷精と戯れつつ多少痛めつけている間に決めてくださいね」
「行っちゃったわね」
「誰が行くのかー?」
「みすちー行く? 正直私一人でこの山行くのは少し怖いから」
「そんなの私だって怖いわよ! ……とは言え」
「? どーしたのかー?」
((ルーミアには任せられないよねぇ))
「じゃあ、公平にじゃんけんで決めようか」
「そうね。じゃあ、早速」
「じゃんけんなのかー」
「「いや、ルーミアは留守番の方向でどうかお願い」」
「そーなのかー」
「それじゃあ改めて。じゃんけん」
「「ほいっ!」」
「私の勝ちね。それじゃあリグルお願いね」
「はぁ、仕方ないかぁ。それじゃあ――」
「決まったようですね」
「うわぁっ!? 何時の間に!? って、チルノは?」
「それはもう天狗ですから。氷精はそこで伸びてるので適当に開放しておいてくださいね。では、案内しましょう」
「全くチルノは……って案内してくれるの? 助かるけれど」
「璃甲様の処に行く者は珍しいですからね。弾の客人ぐらい連れて行きたいものですよ。…………後、記事になりそうな気もしますしね」
「何か今小さく言わなかった?」
「いえ、何も? それより早く行きましょう」
「……ならいいけど」






「璃甲様はこの奥にいると思いますよ。では、私はこれで」
「あっ。こんな所に一人にされると……流石にきついなぁ。早く例の妖怪探さないと」
「こんな所に客人とは珍しいですね。えっと……貴女は――」
「あっ、もしかしてあんたが例の……確か璃甲って言ってたっけ?」
「はい。私は餘坪璃甲です。それで、黒くてテカテカしてカサカサしてる触覚の生えたアレさんは何の用ですか?」
「ちょっ!? そんな不名誉極まりない誤解を受けそうな呼び名はやめてくれない!?」
「何か問題があったでしょうか? 黒くて(蛍の身体の色)テカテカして(発光部分を差してる)カサカサしてる(虫全般に言える)触覚の生えた(同じく虫全般に言える)アレ(個体対象用代名詞)に不備があったでしょうか?」
「不備しかないでしょ! とりあえずその呼び方はやめて!」
「そうですか……。では、黒くてテカテカしてる虫さん。何のご用でしょうか?」
「あんまり変わってない! 私の事はリグルでいいから。それで、「海」ってものについて教えてほしいんだけど……幻想郷にはないって聞いたけど」
「そうですね。確かにこの幻想郷に海は存在しません。ですが、海を難しく捉えてるから海が存在しないのです」
「難しく?」
「はい。海というものを一個の存在としてとらえれば確かに存在しないでしょう。ですが、海というものは、全ての水が流れつく先。言わば水の流れつく先が海なのです」
「?? よくわからないんだけど」
「霧の湖は知ってますね?」
「あ、うん。チルノが住んでる場所だから知ってるけど……?」
「湖は水海――すなわち、水で出来た海の事。水海もまた水の流れつく果てなのですよ。つまりは、そういった意味でよいのならば、幻想郷にも海はあります」
「えっ? えっ? え〜と、じゃあ海は水じゃないの?」
「いえ、そうではないのです。海は海水――即ち様々なものが沈澱し、取り込まれた澱のような水。その澱が生命の源なのですが、それは置いておきまして、水海の水はそう言った澱の無い水。いえ、澱の濃度とでもいいましょうか」
「????」
「少し難し過ぎましたか? では、極論で行きましょう。海とは水海を広く濃く、そして澱ませたものです」
「湖よりも大きい湖?」
「そうですね。事幻想郷ではそのような認識でいいでしょう。さて、そろそろ戻った方がいいですよ。この山は危険ですしね」
「あっ、確かに。では、ありがとうございました」
「どういたしまして。それでは、黒くてテカテカしてるリグルさん」
「そう言う意味で言ったわけじゃないっ!」






「どうでしたか?」
「あ、うん。正直に言うとさっぱりだった」
「まぁ、そうだと思ったからこそ通したんですけどね」
「? どういうこと?」
「理解できてしまえば、下手すれば境界の大妖怪に口封じされる可能性があったってことですよ。アレは外の知識らしいですからね。詳しく走りませんが」
「ふぅん。そう」
「しかし、随分と気に入られたようですね」
「何が?」
「璃甲様にですよ。随分語っていたようですしね。また、暇があれば付き合ってもらえるとうれしいですね」
「天狗ってそんなことまでするわけ?」
「それはもう天狗ですから。天狗は割と下の方なのですよ?」
「嘘くさいなぁ」
「あやや」






「あ、リグルお帰り。どうだった?」
「まぁ、あたいの力無しに倒すことは出来なったでしょうけどね」
「いや、戦ってないから。うぅん、よくわからなかった」
「そーなのかー」
「「海」ってのは大きい湖の様なものだって」
「ふぅん? でも、幻想郷には海はないんだよねぇ? 霊夢たちがそう言ってたんだし」
「じゃあ! 湖を大きくして海を作ろう!! チルノ軍団しゅっぱーつ!」
「大きくするのかー」
「何か違う気がするけど、まいっか」









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