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トリス=リア=ベルニクスSS

Last-modified: 2009-06-14 (日) 08:35:31 (3776d)

SS本文

妖怪の山の滝の裏には一匹の河童が住んでいる。その河童の名はトリス=リア=ベルニクス。体力が極端になく「100m走れば死ぬ」と自らいうほどの非力っぷりである。今回はそんな河童のとある一日をここに記す。




 トリスの朝は早い。発明や実験で貫徹をしているときを除けば必ず朝の5時前には目が覚め行動する。とはいえ、これはトリスが健康的だからという理由ではなく、これぐらいの時間から行動してないと、体力皆無なトリスはろくに行動を済ませれないからである。
「今日はヴワルで調べ物をする予定だったな。ともあればそろそろ出発をするか」
 トリスは壁に掛けてある白衣を着こみ、愛用の帽子といつも背負っている外部記憶装置(ストレージ)を手に取り身支度を済ませて洞窟から外に出た。
「さて、毎度のことながらこの山を歩いて下ったら死ぬな。それでなくとも半日はかかるだろう。うむ、そういう訳なのでいつも通りに行こう」
 トリスはそう言い、滝に向かって身を落とした。うつ伏せになり、あたかも水死体のように漂いながら川を下っていく。その姿があまりにリアリティ溢れているらしく『恐怖 河童の川流され』というスペルカードのように呼ばれていることをトリスは知っていたが、そんな忌名で呼ばれるよりも、体力を使わないで山を下ることの方が優先だったので気にしないことにした。
 そんなこんなでしばらく流されて大蝦蟇の池まで流れついたあたりでトリスの身体が持ちあげられる。トリスが上を見上げると、人形遣いのアリス・マーガトロイドが目の前に立っていた。
「やっぱりまたそんな移動方法を取ってたのね。気になって寄ってみて正解だったわ」
「ふむ。私にとっては最も効率のいい山の下り方なんだがな。何か問題があるか?」
「はぁ、そうだったわね。前日のうちに迎えに行った方が良かったかしら?」
「気遣いは嬉しいが、アリスにもやることが多々あるだろう? 無理をする必要はない」
 アリスがため息をつきながら呟いたのに対し、トリスはそう言い切る。しかし、
「それでこの間約束の時間が過ぎても来ないから気になって身に行ったら紅魔館までの道のりの途中で力尽きてたじゃない。いいのよ。私がやりたくてやっていることなんだからトリスは別に気にしなくても。……いえ、全く気にしないってのも釈然としないわね。
 そうね。トリスは気にしないんじゃなくて、もっと私とかを頼りなさい。私だって実験とか論理構成のときとかにトリスの力を借りてることがあるわけだし……」
 アリスが必死に釈明している姿を見て、トリスは思わず噴き出してしまった。それを見たアリスが、
「な、何を笑ってるのよ! 私はトリスのことを心配し――」
「ちゃんとわかっている。そうだな。私もこれからはもう少しアリスを頼ることにするよ。それでは早速だが、私を紅魔館まで運んでくれないか?」
「いいわよ。今回はそのためにわざわざここまで来たわけだし。それじゃあ、面倒事が起きないうちにさっさと行くわよ」
 そう言って、アリスはトリスを抱えて紅魔館まで移動を始めたのだった。
 そんなこんなでアリスとトリスは紅魔館のヴワル図書館までやってきた。予定していた時間よりもかなり早く来ていたので小悪魔が驚いていた。
「えっ!? なんでもう来てるんですか!? まだ、お茶の準備もなにも整ってませんよ〜!!」
 そう言って慌てる小悪魔の様子を見て、トリスは思い出したかのように風呂敷包みを取り出して言った。
「土産品だ。温度を設定して水を入れればすぐにその温度になる。風情はなくなるが時間がない時などには有用だろう」
「あ、ありがとうございます。でも、そういうのは魔法でパッとやってしまうので失礼ですがきっと使いませんよ?」
「ん? そうか。ではこれはどうしようか?」
「じゃあ私が貰おうかしら? 普段は人形にやらせているけど、手間が省けるならそれに越したことはないし」
「そうか? ならばこれはアリスに渡そう。それで? パチュリーはまだ眠っているのか?」
「騒がしいわね。そんな騒音をたてられたら眠れるものも眠りないわ」
 蔵書の奥からパチュリーが出てくる。その様子を見てアリスとトリスは中央にあるテーブルにそれぞれ腰かける。
「それで? 今回は何の用だったかしら?」
「私は自律人形の式を構築するためだけど、トリスは移動補助のための機械の製作だったかしら?」
「それならば実はすでに一応完成しているんだがな……」
「? それならどうして今日も川を流れてたのよ? 補助機を使っているようには見えなかったけれど?」
「実は私は使うにあたり、致命的なミスがあったんだ。今パチュリーが座っているのがまさにそれなのだが」
 アリスは言われてパチュリーの方を見る。パチュリーはソファーのようなものに座っていた。ただしそのソファーにはタイヤが付いているし、様々な機材などがごてごてしく付けられていた。
「なによこれ?」
「外の世界で足腰が弱いものが使う車椅子というものらしいわね。私もいろいろ手を貸したから大体の機能を知っているから言うけれど、これは便利よ。魔導書複数枚分の攻撃用術式と防御用術式、周囲の魔力を集めて使用、保畜する動力炉――」
「そして、太陽光を糧にも動力を確保する。残念ながら飛翔機能は搭載できなかったが地走速度は並みの妖怪ならば余裕で引き離せる速度を持つ……


 パチュリーのセリフを途中でトリスが引き継ぐ。トリスは途中まで熱弁していたが後半から少しずつ声のトーンが低くなる。
「じゃあなんでトリスが使ってないのよ? さっきから聞いてる限りでは問題なんてないと思うんだけれど? 現にパチュリーも今使ってるわけだし……ってどうしたのよトリス!? ちょっとパチュリー!? 詳しく説明してくれない!?


 突然半泣きになったトリスに驚いたアリスはパチュリーに事情説明を求める。
「そうね。まずはこれを見てもらおうかしら?」
 パチュリーはそう言って車椅子から立ち上がる。椅子のサイズはそれほど大きくもなく、乗れるのはアリスやパチュリーぐらいのサイズまでが限界だろうと考えられる。
「特に変なところは見当たらないけれど……?」
「そうね。この椅子自体は特におかしなところなく作られているわね。問題は彼女自身にあるのよ。正確には彼女の背に」
 アリスは言われてトリスの背中を見る。そこにはそこそこの大きさを保持するストレージが背負われている。続けてもう一度椅子の方を見る。確かにストレージを背負ったままではいくら小柄なトリスでも座ることは不可能だろう。
「そういうことよ。これ自体がいろいろ複雑な式とか機構とかを無理やりに詰め込んでいるから今更そんなスペースを空けることができないのよ」
「まあいいんだ。もとより飛翔機能を取り入れれなかった時点で山登りにも不備が出たであろうからな。これはここでパチュリーに活用してもらうとするさ」
 トリスは何とか立ち直ったのか二人の会話に参加してくる。
「それに、もし完全なのが完成してしまったらアリスに運ばれることもなくなるだろうからな。ある意味では失敗したのはいいことかもしれん」
「なっ、何言ってるのよ! まったく、よくそんなことを恥ずかしげもなく言えるものね」
「別に、行為の際のアリスに比べればこの程度のこと恥ずかしくもなんとも――」
 トリスの発言はアリスの放った数体の人形の攻撃によって途切れさせられる。
「本当に羞恥心とか恥ずかしさってものを覚えなさいこのエロ河童!!」
「エロ河童ね。これに対してならば言いえて妙かもね」
 人形の攻撃によって気絶しているトリスを横目で見ながらパチュリーが呟く。
「ちょっとパチュリー? それはどういうことかしら? まさかとは思うけど貴女も?」
「私じゃないけれど、この間門番にちょっかい出して咲夜に倒されていたわよ」
「そう言えば今日来た時にはいつもの門番がいなかったわね。もしかしてそれが理由?」
「そうだと思うけど。彼女が来るって知ったら咲夜が無理やりシフトを変更させてたぐらいだから」
「そっちも災難ね。まぁとりあえずこれに関しては私が一応矯正しておくから」
「頼むわね。咲夜が仕事にならないと紅魔館の7割の機能が低下するんだから」
「それじゃあ、予定とは違うけど今日はこれで失礼するわ。やることも増えたし」
 そう言ってアリスはトリスの首根っこをつかんだまま紅魔館から去って行った。その後行われたアリスの矯正がどのようなものであったか、またそれによってトリスがどのようになったかを知る者は誰もいない。


とある河童の一日 END




作者さんの一言
う〜ん。時間と才能がないのであまりうまくかけませんね〜。特に冒頭とオチがうまく作れません。この作品を読んでくれた人がいましたら、感想なり突っ込みなりをくれるとうれしいですよ〜。




〜了〜

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