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第9回SS部門_neneco

Last-modified: 2009-06-14 (日) 20:01:21 (3836d)

SS本文

▽登場キャラ
・第5回 メイド隊洗濯部員:壁|・ω・)さん投稿「紋代 ひらり」 ふんわりゆったり
・第4回 花の妖精:ヤスさん投稿「朝花」 誠実で穏やか
・第5回 メイド隊洗濯部員:neneco投稿「スケッチ・カラー」 落書き妖精(SS中にはキャラ名はでていない)




 紋代ひらりは風にはためく洗濯物を眺めると、物干し竿の上に腰を下ろした。今日の干し物は終わり。あとは乾くのを待つだけ。
 ふと気が付くと、同僚の落書き妖精がベランダに朝顔の鉢植えを並べている。ずいぶんと多い。
「何をしているんですか?」
 不思議に思ったひらりは、彼女に声をかけた。
「んっとね、ピンクや紫が足りなくなっちゃって」
 朝顔の花から染料を作るという。よほど大量に使うのだろう。ベランダの一角は、すっかり朝顔で埋まっていた。
 これだけの朝顔を見るのは久しぶりだ。
 前に見たのは、太陽の畑。たくさんの朝顔が咲く場所があって、そこにはいつも――
「?」
 花の間に見える小さな羽に気がついた。花と同じデザインのスカートも見える。
 それがもぞもぞと動き、眠たげな顔を上げた。
「ん……ふぁ」
 ひらりは彼女をよく知っていた。
「……朝花ちゃん」
「え……シロちゃん?」
 あの時いつもいた、朝顔の妖精だ。


「綺麗に咲いた鉢植えがあったの」
 ベランダの手すりに座って朝花が話す。
「潜り込んだら気持ちよくて、そのまま寝てしまって――
 そして起きたら、知らないところ」
「……ぷっ」
 しかめっ面をする朝花を見て、ひらりは思わず吹き出した。
 ひらりが座るのは朝花の隣。並んで座る二人は、あの頃と変わらない。
 二人でなんでもない話をして、
 あるいは風の音を聞いて、
 いつの間にか寝てしまっていて、
 どちらかが落っこちる音で目を覚まして、
 今見た夢の話をして、
 やがて日が傾き、
 空が紅く染まり、
 別れ際に交わす言葉は「また明日」。
 その繰り返しが楽しかった。


「ねぇ、朝花ちゃん」
 紅魔館から眺める空が紅く染まっていく。
「また、ここに来ませんか?」
「いいの?」
「はい。それに、私もときどき太陽の畑に帰ります」
 夕日に染まる二人の姿が懐かしい。
「うん」
 手すりから降りた朝花は振り向いて、あの頃と同じ笑顔で、
「それじゃあ――また明日!」

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